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文献詳細

雑誌文献

検査と技術34巻11号

2006年10月発行

文献概要

増刊号 新しい臨床検査・未来の臨床検査 各論 2.生化学検査

7 レムナント様リポ蛋白(RLP)コレステロール

著者: 多田紀夫12

所属機関: 1東京慈恵会医科大学附属柏病院総合診療部 2東京慈恵会医科大学内科学

ページ範囲:P.1142 - P.1145

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 はじめに

 レムナントリポ蛋白(レムナント粒子あるいは単にレムナントとも呼ばれる)は小腸由来リポ蛋白であるカイロミクロン(chylomicron,CM)や肝由来リポ蛋白である超低比重リポ蛋白(very low-density lipoprotein,VLDL)などのトリグリセリド(TG)-richリポ蛋白が血中に分泌された後,毛細血管床に存在するリポ蛋白リパーゼの作用を受け変化した中間代謝産物であり,CMレムナントとVLDLレムナントの両者を総称する呼び名である.CMレムナントとVLDLレムナントは,ともにTGに富み,アポEとコレステロールに富むリポ蛋白粒子であり,アポB(CMレムナントは主としてアポB-48,VLDLレムナントはアポB-100)を構造アポ蛋白とする共通点を持つ1)

 レムナントは低比重リポ蛋白(LDL)と同様に動脈硬化を促進させるリポ蛋白の1つである(コラム参照).Ⅲ型高脂血症,家族性複合型高脂血症,糖尿病性高TG血症,メタボリックシンドロームにおける高頻度の冠動脈疾患発症はレムナントの増加によるところが大きい(表).近年,食後高脂血症の動脈硬化促進性が話題になっているが,レムナントはここに関与するリポ蛋白でもある.家族性高コレステロール血症においてもレムナントが増加することがあり,この場合は家族性高コレステロール血症の易動脈硬化性をさらに助長する.1993年10月より血中レムナント濃度を反映する測定法としてRLP-C(remnant-like particles cholesterol,レムナント様リポ蛋白-コレステロール)が保険収載され,臨床の場においてレムナントの定量的把握が容易となった.

参考文献

1) 多田紀夫:高レムナントリポ蛋白血症.日本臨牀 57:2789-2794,1999
2) 多田紀夫:Very low density lipoproteinのheterogeneityとその代謝に関する研究.東京慈恵会医科大学雑誌 97:553-569,1982
3) 多田紀夫,石川俊次,望月恵子,他:高脂血症におけるLipo Z-血清脂質・アポ蛋白とLipo Zの関連性について.Prog Med 10:722-726,1990
4) 中嶋克行,斉藤俊光,田村亜紀,他:レムナント・リポ蛋白測定とその臨床的意義-1,空腹時血清RLP-C(remnant like particle-cholesterol)の測定法とその診断的有用性について.動脈硬化 20:79-88,1992
5) 多田紀夫:Remnant like particleのcharacterizationとその臨床的意義.日本臨床代謝記録(ⅩⅩⅤⅢ)32-33,1991
6) 多田紀夫:レムナント様リポ蛋白.臨床検査 40:1023-1029,1996
7) 多田紀夫,池脇克則:食後高脂血症の診断法:脂肪負荷試験に伴う血清脂質とRLPの変化―リポ蛋白分画からの解析.動脈硬化 25:361-370,1998

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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