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増刊号 新しい臨床検査・未来の臨床検査 各論 2.生化学検査
8 small dense LDLコレステロール
著者: 平野勉1 伊藤康樹2
所属機関: 1昭和大学医学部第一内科 2デンカ生研
ページ範囲:P.1146 - P.1149
文献購入ページに移動LDLコレステロール(c)が動脈硬化,とりわけ冠状動脈疾患(CHD)の最も重要な危険マーカーであることは異論なき事実であり,大規模な疫学調査や薬剤の介入試験によって明らかとなっている.しかしながらLDL-C値が正常であってもCHDを発症する場合が稀ならず存在することもまた事実である.そこで注目されているのがLDLの質的異常であり,その代表格と目されているのが粒子サイズが小さく,比重の重いLDL(small dense LDL,以下sd LDL)である.最近ではメタボリックシンドロームで増加するためその関連因子として注目されてきている.従来よりsd LDLの検出にはLDLのサイズを濃度勾配電気泳動を用いて計測するのがスタンダードな方法であったが,近年はサイズ以上にsd LDLの濃度が重要視され1),その定量法に関心が集まっている.われわれはsd LDLの簡便な測定法としてポリアニオンと二価陽イオンから成る分離剤を用いて通常サイズのLDLを含む比重d<1.044g/mlのリポ蛋白を凝集させ,sd LDLを分離するステップと,分離後のLDL-Cを測定するステップから成るsd LDL-C測定法を開発した.本測定法はフィルター遠心チューブを用いることにより高カイロミクロン検体などでも正確に分離することができる.本測定法は,簡便であり特別な測定機器も必要としないことから,sd LDLの定量法として広く普及することが期待される.
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