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文献詳細

雑誌文献

検査と技術34巻11号

2006年10月発行

増刊号 新しい臨床検査・未来の臨床検査

各論 2.生化学検査

14 血清アミロイドA蛋白質

著者: 安東由喜雄1 立石多貴子1 姫野真悟1

所属機関: 1熊本大学医学薬学研究部病態情報解析学分野

ページ範囲:P.1172 - P.1174

文献概要

 はじめに

 SAAは,IL-1β,IL-6,TNF-αなどのサイトカインの刺激により,肝臓,血管内皮細胞,脂肪細胞をはじめとする全身のあらゆる部位で産生される11.7kDaの糖鎖を含まない蛋白質である.SAAは,N末端に疎水性の領域を持ち,この部位で高比重リポ蛋白質(high density lipoprotein,HDL)と結合して血中を循環している.

 SAAは以前から関節リウマチや炎症性腸炎などの炎症性疾患に続発して起こる二次性アミロイドーシスにおいて,組織に沈着するアミロイドの前駆蛋白質として知られており,血中のSAAの持続的高値は発症のリスクファクターとなることが知られている1).また,SAAは炎症時に10~1,000倍に上昇し,CRPよりも変動幅が大きいことから,急性炎症マーカーとして有用である2)

 ヒトSAAには,SAA1~4までの4種類の遺伝子多型が知られている3).このうち,急性炎症において著明に発現するのは,主にSAA1および2である.特にSAA1においてはSAA1.1,SAA1.3,SAA1.5のサブタイプが存在し,その中でもSAA1.5を有すると,血中SAA濃度は高値となる傾向がある3).また,アミロイドの前駆体となるのも,主にSAA1と2であり,特にSAA1由来のものが多いとされている.その中でもRAでは,SAA1.3を持つと発症のリスクが数倍高いことが知られている.

 SAA3はpseudo geneであり,以前は蛋白質を産生しないと考えられてきたが,最近,プロラクチンやリポポリサッカライドにより乳腺上皮細胞を刺激すると,一過性に発現することが知られるようになってきた.SAA4は,炎症とは無関係に常時発現しているが,疾患との関連性など不明な点が多い.

参考文献

1) 安東由喜雄,植田光晴:アミロイド前駆蛋白の生化学.池田修一(編),アミロイドーシスの基礎と臨床,金原出版,pp126-133,2005
2) Yamada T, Okuda Y, Takasugi K, et al:Relative serum amyloid A (SAA) values:the influence of SAA 1 genotypes and corticosteroid treatment in Japanese patients with rheumatoid arthritis. Ann Rheum Dis 60:124-127,2001
3) 山田俊幸:血清アミロイドA(SAA):病原性と検査値の背景.臨床病理 54:509-512,2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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