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増刊号 新しい臨床検査・未来の臨床検査 各論 3.免疫血清検査
2 マトリックスメタロプロテイナーゼ-3(MMP-3)
著者: 小柴賢洋1 林伸英2 熊谷俊一3
所属機関: 1兵庫医科大学臨床検査医学 2神戸大学医学部附属病院臨床検査部 3神戸大学大学院医学系研究科生体情報医学講座
ページ範囲:P.1194 - P.1196
文献購入ページに移動マトリックスメタロプロテイナーゼ-3(matrix metalloproteinase-3,MMP-3)は別名ストロメライシン-1(stromelysin-1)とも呼ばれ,インターロイキン-1(inter leukin-1,IL-1)などの炎症性サイトカインや酸化ストレスなどの刺激により関節滑膜細胞や軟骨細胞,線維芽細胞,マクロファージなどで産生誘導される蛋白分解酵素である.MMP-3はマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMPs)のなかで最も基質特異性が低く,細胞外マトリックス,特にプロテオグリカンを分解し軟骨破壊を起すとともに,Ⅰ型やⅡ型コラーゲンを分解するMMP-1の活性化を誘導するなど,関節破壊に深く関与している.関節リウマチ(rheumatoid arthritis,RA)患者の関節液には大量のMMP-3が含まれ,血清中でも活動期に増加しC反応性蛋白質(C-reactive protein,CRP)や赤沈などの炎症マーカーと相関することが報告され1,2),また血清MMP-3のレベルが関節病変の予後予測に使用できる可能性が示唆された.一方,痛風,変形性関節症,外傷性関節炎などでは一般に高値を示さないとされる.すなわちMMP-3は関節破壊の指標として,炎症マーカーと並んでRAの病勢を反映するマーカーであると同時に,RAの鑑別診断にも有用なマーカーであると考えられる.
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