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文献概要
増刊号 新しい臨床検査・未来の臨床検査 各論 3.免疫血清検査
6 ループス抗凝固因子
著者: 鏑木淳一1
所属機関: 1東京電力病院内科
ページ範囲:P.1212 - P.1214
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ループス抗凝固因子(ループスアンチコアグラント,lupus anticoagulants,LA)をはじめとする抗リン脂質抗体は,現在,後天性血栓症に対する危険因子と考えられている1).LAの研究は,1963年,Bowieらが,in vitroにおいては凝固時間が延長していることにかかわらず,in vivoで血栓症を呈した全身性エリテマトーデス(SLE:systemic lupus erythematosus)を報告し,この要因として,LAを提唱したことに始まる.このLAは,1982年,Shapiroらにより,個々の凝固因子活性を抑制せずに,リン脂質依存性凝固時間を阻害する免疫グロブリンと定義された.1983年,Hughesは,臨床的に,LAが,血栓症,自然流産,中枢神経障害に関連することを指摘した.この報告以降,主に,SLEを対象とする履歴研究から,抗リン脂質抗体陽性例の臨床特徴が明らかにされ,抗リン脂質抗体症候群(antiphospholipid syndrome,APS)の疾患概念が明らかにされた.これに伴い,LAの測定は,APSの診断・分類のために必須となった.
ループス抗凝固因子(ループスアンチコアグラント,lupus anticoagulants,LA)をはじめとする抗リン脂質抗体は,現在,後天性血栓症に対する危険因子と考えられている1).LAの研究は,1963年,Bowieらが,in vitroにおいては凝固時間が延長していることにかかわらず,in vivoで血栓症を呈した全身性エリテマトーデス(SLE:systemic lupus erythematosus)を報告し,この要因として,LAを提唱したことに始まる.このLAは,1982年,Shapiroらにより,個々の凝固因子活性を抑制せずに,リン脂質依存性凝固時間を阻害する免疫グロブリンと定義された.1983年,Hughesは,臨床的に,LAが,血栓症,自然流産,中枢神経障害に関連することを指摘した.この報告以降,主に,SLEを対象とする履歴研究から,抗リン脂質抗体陽性例の臨床特徴が明らかにされ,抗リン脂質抗体症候群(antiphospholipid syndrome,APS)の疾患概念が明らかにされた.これに伴い,LAの測定は,APSの診断・分類のために必須となった.
参考文献
1) Kaburaki J:Antibody specificity and related clinical features in antiphospholipid syndrome. Mod Rheumatol 11:113-120,2001
2) Miyakis S, Lockshin MD, Atsumi T, et al:International consensus statement on an update of the classification criteria for definite antiphospholipid syndrome (APS). J Thromb Haemost 4:295-306,2006
3) 鏑木淳一,島田舞,片桐尚子,他:SLE,SLE疑診例における希釈ラッセル蛇毒時間測定キット(LAテスト「グラディポア」)によるループスアンチコアグラント測定の再評価.日本検査血液学会雑誌 6:218-223,2005
4) 鏑木淳一,桑名正隆,亀田秀人,他:SLE・SLE疑診例におけるループスアンチコアグラント測定の臨床的意義.日本医事新報 4208:25-28,2004
5) 鏑木淳一,桑名正隆,亀田秀人,他:抗リン脂質抗体症候群の診断における抗ホスファチジルセリン・プロトロンビン複合体抗体測定の臨床的意義―多施設間成績.臨床血液 46:19-21,2005
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