文献詳細
文献概要
増刊号 新しい臨床検査・未来の臨床検査 各論 4.腫瘍マーカー
2 乳頭分泌液中CEA
著者: 西敏夫1 弥生恵司1
所属機関: 1市立貝塚病院外科
ページ範囲:P.1234 - P.1236
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乳頭異常分泌は妊娠・授乳期以外に自然に,持続的にみられる乳頭からの分泌であり,諸家の報告では一般乳腺外来患者の4~9%とされており,予想外に多い.腫瘤を伴っている場合はその精査を行えばよく,分泌液の診断的価値は乏しいが,腫瘤のない場合は慎重に対処する必要がある.
乳頭異常分泌の原因としては乳腺の器質的変化を伴わない機能的なものと器質的変化を伴うものとがある(表).前者は,両側性で多孔性のことが多く,後者は一側性で単孔性のことが多い.頻度としては後者が圧倒的に多く,乳管内乳頭腫,乳腺症など乳腺の良性疾患が大部分を占めているが,乳癌も全体の5%にみられる1).そしてこのなかには乳頭異常分泌が唯一の症状である非腫瘤性乳癌が少なからず含まれているため,この症状を認めた場合,適切かつ効果的に診断を進めることが求められる.まず問診,視触診から始まり,マンモグラフィ,乳腺超音波検査を行い,そのうえに分泌液および分泌乳管に対する診断が加わることになる.
癌胎児性抗原CEAは大腸癌を中心に広範囲な腫瘍マーカーとして用いられているが,乳癌の腫瘍細胞でも産生され乳管内に放出されることが報告されている.このことから乳頭分泌液中の腫瘍マーカーCEAを測定することにより特異的に乳癌をスクリーニングする方法が考案された.本検査は非侵襲性であり,視・触診や乳腺超音波検査などでは診断が困難な無腫瘤性乳癌の簡便なスクリーニング法の一つとして,分泌液の細胞診を補完する検査方法として,日常外来診療によく用いられている.
乳頭異常分泌は妊娠・授乳期以外に自然に,持続的にみられる乳頭からの分泌であり,諸家の報告では一般乳腺外来患者の4~9%とされており,予想外に多い.腫瘤を伴っている場合はその精査を行えばよく,分泌液の診断的価値は乏しいが,腫瘤のない場合は慎重に対処する必要がある.
乳頭異常分泌の原因としては乳腺の器質的変化を伴わない機能的なものと器質的変化を伴うものとがある(表).前者は,両側性で多孔性のことが多く,後者は一側性で単孔性のことが多い.頻度としては後者が圧倒的に多く,乳管内乳頭腫,乳腺症など乳腺の良性疾患が大部分を占めているが,乳癌も全体の5%にみられる1).そしてこのなかには乳頭異常分泌が唯一の症状である非腫瘤性乳癌が少なからず含まれているため,この症状を認めた場合,適切かつ効果的に診断を進めることが求められる.まず問診,視触診から始まり,マンモグラフィ,乳腺超音波検査を行い,そのうえに分泌液および分泌乳管に対する診断が加わることになる.
癌胎児性抗原CEAは大腸癌を中心に広範囲な腫瘍マーカーとして用いられているが,乳癌の腫瘍細胞でも産生され乳管内に放出されることが報告されている.このことから乳頭分泌液中の腫瘍マーカーCEAを測定することにより特異的に乳癌をスクリーニングする方法が考案された.本検査は非侵襲性であり,視・触診や乳腺超音波検査などでは診断が困難な無腫瘤性乳癌の簡便なスクリーニング法の一つとして,分泌液の細胞診を補完する検査方法として,日常外来診療によく用いられている.
参考文献
1) 弥生恵司:乳頭異常分泌中CEAとその臨床応用.乳癌の臨床 7:366-374,1992
2) 西敏夫,弥生恵司,古妻嘉一,他:イムノクロマトグラフィ法による乳頭分泌液中CEA測定.日乳癌検診学会誌 12:114-118,2003
3) 西敏夫,弥生恵司,古妻嘉一,他:乳頭分泌液中CEA測定の新しいimmuno-chromatographic assay法の検討.乳癌の臨床 16:542-543,2001
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