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文献詳細

雑誌文献

検査と技術34巻11号

2006年10月発行

文献概要

増刊号 新しい臨床検査・未来の臨床検査 各論 5.感染症検査

1 ヘリコバクター・ピロリ関連検査

著者: 高木敦司1

所属機関: 1東海大学医学部内科学系総合内科

ページ範囲:P.1242 - P.1243

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 はじめに

 H. pyloriは,胃粘膜に特異的に定着して慢性胃炎を引き起こすグラム陰性(Gram-negative)の細菌であるが,消化性潰瘍や胃癌からも高率に検出される.消化性潰瘍は,いったん治療を中断すると,高率に再発するために,酸分泌抑制剤による維持療法が必要であった.しかしながら本菌の除菌により潰瘍の再発が防止されることが明らかになり,潰瘍患者はH. pyloriの感染診断をして除菌を行うよう胃潰瘍診療ガイドラインでも推奨されている.H. pyloriの検出方法は内視鏡を用いて検体を採取する侵襲的診断法と内視鏡を用いない非侵襲的診断法に分けられる.侵襲的診断法としては,培養法,迅速ウレアーゼ試験,組織鏡検法が挙げられる.非侵襲的診断法としては,尿素呼気試験,便中抗原検査法,抗体検出法(血清,尿)が挙げられる.H. pyloriは高いウレアーゼ活性を有していて胃内の尿素を分解してアンモニアを産生して酸性環境下の胃内での定着が可能であるが,ウレアーゼ活性が迅速ウレアーゼ試験や尿素呼気試験として診断にも応用されている.非侵襲的検査法である尿素呼気試験と便中抗原検査法が今後診断法の中心となってくると考えられる.

参考文献

1) 加藤元嗣,中川宗一,清水勇一,他:学会ガイドラインによるHelicobacter pylori非侵襲的診断法の選択.Helicobacter Research 9:8-12,2005
2) 福田能啓,坂上隆,富田寿彦,他:Helicobacter pylori便中抗原測定法の現状とその展望.Helicobacter Research 9:50-56,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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