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文献詳細

雑誌文献

検査と技術34巻11号

2006年10月発行

増刊号 新しい臨床検査・未来の臨床検査

各論 5.感染症検査

2 抗抗酸菌抗体

著者: 猪狩英俊1

所属機関: 1千葉大学医学部附属病院感染症管理治療部

ページ範囲:P.1246 - P.1247

文献概要

 はじめに

 日本の登録結核患者は29,736人(10万人対23.3,2004年)のうち,結核菌培養陽性者は70.2%,喀痰塗抹陽性者は52.7%である.これは,他者へ感染を及ぼす危険のある塗抹陽性者が半数を超えており,結核への注意を喚起するために使用される数値である.

 診療の立場からは,喀痰塗抹陽性者は約半数であり,培養陽性者も加えても70%であるともいえる.残る30%は,胸部X線写真などの臨床診断をもとに治療が開始されていることを示している.このような判断は,結核の診療経験が少ない施設の医療従事者にはわかりにくく,診断や治療の遅れに影響することも考えられる.

 ここで取り上げる抗抗酸菌抗体検査は,結核を含む抗酸菌症の診断を,短時間で客観的数値で判定できるもので,とりわけ排菌のない症例の診断に有用な検査である.

参考文献

1) 螺良英郎,山中正彰,坂谷光則,他:抗酸菌抗体検出法の臨床有用性に関する共同研究.結核 72:611-615,1997
2) Iinuma Y, Senda K, Takakura S, et al:Evaluation of a commercially available serologic assay for antibodies against tuberculosis-associated glycolipid antigen. Clin Chem Lab Med 40:832-836,2002
3) Lyashchenko K, Colangeli R, Houde M, et al:Heterogeneous antibody responses in tuberculosis. Infect Immun 66:3936-3940,1998

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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