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文献詳細

雑誌文献

検査と技術34巻11号

2006年10月発行

文献概要

増刊号 新しい臨床検査・未来の臨床検査 各論 5.感染症検査

10 HCVコア蛋白質

著者: 伊藤敬義1 井廻道夫1

所属機関: 1昭和大学医学部第2内科

ページ範囲:P.1268 - P.1270

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 はじめに

 慢性肝炎の多くは肝炎ウイルスの持続感染による.急性肝炎から移行した慢性肝炎は最終的には肝硬変に進展し,肝癌を発症する例も存在する.現在,慢性肝炎の70%がC型肝炎ウイルス(hepatitis C virus,HCV),20%がB型肝炎ウイルス(hepatitis B virus,HBV)による.C型慢性肝炎の診断として,一般肝機能検査でトランスアミナーゼ(AST,ALT)値,胆道系酵素(ALP,γGTP,LAP)値が高値を示す場合は肝炎ウイルスマーカー,腹部超音波検査が行われる.HCV抗体が陽性であればC型肝炎と診断し,HCV RNAなどの追加検査を行う.HCV RNA陽性であれば現在の感染を意味する.次にHCV RNA量とHCVジェノタイプもしくはセログループを決定し,インターフェロン(interferon,IFN)療法の適応,種類の選択をする.HCVジェノタイプ/セログループやHCV RNA量,肝生検からの肝線維化の程度からIFN(interferon,インターフェロン)療法の著効率がどれくらいかが予測できる.一般に日本人の70%を占めるHCV genotype1b/group1はIFN抵抗性であり,genotype2a,2b/group2はIFN感受性と報告されている.また,高ウイルス量群は低ウイルス量群と比較して治療抵抗性である.しかし,以前はHCV genotype1b/group1かつ高ウイルス量群の患者はIFN療法抵抗性のため,治療が見送られるケースも多かった.しかし,最近のペグ化IFN・リバビリン併用療法が同群の患者にも有効性を示していることから高ウイルス量の正確な定量が必要とされ,HCVコア蛋白質定量や高濃度までのHCV RNA量が測定可能なHCV RNA定量(ハイレンジ法)が用いられるようになってきている.本稿ではHCVコア蛋白質定量について解説する.

参考文献

1) 泉並木,朝比奈靖弘,黒崎雅之,他:高感度コア抗原を用いた各種インターフェロン治療効果予測の意義.医学と薬学 56:575-581,2006
2) 片山恵子,熊谷純子,小宮裕,他:HCVコア抗原定量試薬の基礎的検討.医学と薬学 46:1023-1029,2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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