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検査じょうほう室 病理
病理組織標本におけるグラム染色法の特徴―菌体の染色と形態観察におけるテイラー法の有用性
著者: 辻井麻里1 和田龍一1 中田ゆかり1 小林正和1 山崎彩子1 成田純子1 八木橋操六1
所属機関: 1弘前大学医学部病理学第一講座
ページ範囲:P.1435 - P.1438
文献購入ページに移動グラム染色(Gram stain)は細菌の分類や,感染症の起炎菌を同定するうえで基本となる重要な染色法である.グラム染色は細菌検査において多用されるのはもちろんのこと,病理検査においても感染症の診断や細菌種の推定のための重要な染色法のひとつとなっている.
病理検査で用いられるグラム染色には種々の変法があるが,細菌検査における塗抹標本のグラム染色と比較すると,組織切片上ではコロニー内の細菌が重なるため形態の把握が困難であったり,安定した分別結果が得られない場合がある.また,組織背景色とグラム陰性菌とが同系色となり,コントラストが不明瞭で見分けがつきにくいといった問題がある.このため,病理組織標本上で感染症の診断や起炎菌の推定をするためには,病理検査で用いられるグラム染色の種々の方法の特徴を理解する必要がある.
本稿では,病理検査で用いられるマッカラム-グッドパスチャー法(MacCallum-Goodpasture method,以下M-G法)1,2),グラム-ツォルト法(Gram-Twort method,以下G-T法)3)とテイラー法(Taylor method)4)の三つのグラム染色法を比較し,染色や診断における留意点についてまとめた.
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