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文献概要
病気のはなし
膵癌
著者: 中村隆司1 目黒敬義2 村上一宏3 松野正紀4
所属機関: 1東北厚生年金病院外科 2東北厚生年金病院消化器内科 3東北厚生年金病院病理部 4東北厚生年金病院
ページ範囲:P.94 - P.98
文献購入ページに移動CA19-9(carbohydrate antigen 19-9)抗体の認識するエピトープは,ムチン糖蛋白質上の糖鎖構造で,シアリルルイスA構造といわれる四糖の構造であり,糖鎖の末端に位置しその合成には最低4種類の糖転移酵素が関与する.これら酵素の遺伝子解析から成松はCA19-9が膵,大腸,胃の腫瘍マーカーとなるが肝,肺などのマーカーにならない理由を解明した3).4種の酵素の一つが胃腸の器官形成遺伝子で発現が支配され,これ以外の臓器では発現しないためである.またルイス式血液型陰性個体[(a-,b-)]は日本人の十人に一人存在するが,遺伝的点変異で先の4種の最後に作動する酵素FUT3を欠損するためCA19-9値は常に0である.この場合CA19-9の前駆体のDUPAN-2値を測定すべきとされる.
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