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文献詳細

雑誌文献

検査と技術34巻2号

2006年02月発行

文献概要

病気のはなし

膵癌

著者: 中村隆司1 目黒敬義2 村上一宏3 松野正紀4

所属機関: 1東北厚生年金病院外科 2東北厚生年金病院消化器内科 3東北厚生年金病院病理部 4東北厚生年金病院

ページ範囲:P.94 - P.98

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新しい知見

 CA19-9(carbohydrate antigen 19-9)抗体の認識するエピトープは,ムチン糖蛋白質上の糖鎖構造で,シアリルルイスA構造といわれる四糖の構造であり,糖鎖の末端に位置しその合成には最低4種類の糖転移酵素が関与する.これら酵素の遺伝子解析から成松はCA19-9が膵,大腸,胃の腫瘍マーカーとなるが肝,肺などのマーカーにならない理由を解明した3).4種の酵素の一つが胃腸の器官形成遺伝子で発現が支配され,これ以外の臓器では発現しないためである.またルイス式血液型陰性個体[(a-,b-)]は日本人の十人に一人存在するが,遺伝的点変異で先の4種の最後に作動する酵素FUT3を欠損するためCA19-9値は常に0である.この場合CA19-9の前駆体のDUPAN-2値を測定すべきとされる.

参考文献

1) 日本膵臓学会(編):膵癌取扱い規約,第5版.金原出版,2002
2) 日本膵臓学会膵癌登録委員会:日本膵臓学会膵癌登録20年間の総括.膵臓 18:101-168,2003.
3) 成松久:癌転移と糖鎖抗原―癌糖鎖抗原合成機構の分子論.Biotherapy 13:686-693,1999

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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