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けんさ質問箱Q&A
ヘパリン採血におけるアルブミン測定でフィブリノゲン値分だけ高値に出る理由は
著者: 村本良三1
所属機関: 1(財)心臓血管研究所付属病院臨床検査部
ページ範囲:P.156 - P.158
文献購入ページに移動はじめに
まず,血清アルブミン測定法について整理すると,現在用いられている日常検査法はブロムクレゾールグリーン(bromcresol green,BCG)法,ブロムクレゾールパープル(bromcresol purple,BCP)法およびBCP改良法の三法である.三法のうち採用率の最も高いのがBCG法であり,約9割の施設で用いられている.しかし,BCG法はアルブミンのみならずグロブリン分画,特に急性相反応蛋白質とも反応する問題点があり1,2),特異性に欠ける測定法である.また,BCP法はグロブリン分画とはほとんど反応しないもののアルブミン中の還元型と酸化型とで反応性が異なり,後者は前者に比べて反応性が高い3).BCP法におけるこの反応差の解消を目的に最近開発されたのがBCP改良法4,5)であり,現在最も正確度が高い日常検査法とされている.また,BCP改良法は二試薬系が市販されており,検体盲検を差し引けることから乳びなどの共存物質の影響がないことも特長となっている.
一方,試料には従来から血清が用いられてきたが,前処理時間の短縮を目的に緊急検査にヘパリン採血を行っている施設も少なくない.しかし,あまり認識されていないが,ヘパリン血漿を用いたアルブミン測定には問題が多い.今回の質問にあるように,フィブリノゲン値分だけ高値に測定されることが実際に起こる.正確に述べると,フィブリノゲン値分だけ試薬メーカーによっては高値に出る試薬がある.
今回の質問について結論から先に述べると,BCG法におけるフィブリノゲンとの交差反応,それに加えてフィブリノゲンとの反応による混濁形成が要因である.本稿では,実験データを基にヘパリン血漿を試料とする際の問題点について解説する.
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