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特異免疫に基づいた結核感染診断(QFT-2G法)
著者: 原田登之1 樋口一恵1
所属機関: 1(財)結核予防会結核研究所抗酸菌レファレンスセンター免疫検査科
ページ範囲:P.164 - P.166
文献購入ページに移動結核菌に感染した場合,大多数の人は発症に至らない潜在性結核感染となる.現在,世界人口の約三分の一がこの潜在性結核感染者と見積もられており,発症した際には感染源となりうる.したがって先進国においては結核に対する有効な対策の一つとして,潜在性結核感染者を早期に見いだし,発病を防ぐために予防内服を行うことが実施されている.潜在性結核感染の診断には,従来唯一ツベルクリン反応(ツ反)が世界的に使用されてきた.しかし,ツ反に用いるPPD(purified protein derivative of tuberculin,精製ツベルクリン蛋白質)は加熱滅菌した結核菌培養濾液から部分精製した結核菌抗原の混合物であり,そのほとんどのものがBCG(bacillus Calmette-Guérin,カルメット-ゲラン桿菌)や非結核性抗酸菌の抗原と高い類似性を持つため,BCG接種あるいは非結核性抗酸菌感染によってもツ反が陽性になる場合がある.ツ反はこの低特異性という欠点を持つため,BCG接種が広範に実施されている日本において結核感染診断をツ反で正確に行うことは非常に困難であった.しかし最近,ツ反の持つ欠点を克服する新たな結核感染診断法QuantiFERON(R) TB-2G(QFT-2G)が開発された.
本稿では,このツ反の欠点を克服するQFT-2Gについて述べる.
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