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文献詳細

雑誌文献

検査と技術34巻3号

2006年03月発行

ラボクイズ

2月号の解答と解説

著者: 秋山利行1

所属機関: 1近畿大学医学部附属病院中央臨床検査部

ページ範囲:P.247 - P.247

文献概要

【問題1】 解答:④濾胞性リンパ腫細胞(小型)

解説:出題図に示す細胞は小型で核/細胞質比(nuclear/cytoplasmic ratio,N/C)が大,過クロマチン,核縁の肥厚,核の裂け目,または核中心性に狭くて鋭い切れ込み(cleft)など,濾胞性リンパ腫細胞(白血化)の特徴が見られる.一般的に核小体は不明瞭である.

【問題2】 解答:④濾胞性リンパ腫白血化細胞像

解説:濾胞性リンパ腫はリンパ節の二次濾胞から発生するリンパ腫であり,胚中心B細胞に由来する.組織標本を見ると,腫瘍は濾胞性増殖を示し,核に切れ込みのある小~中型と,切れ込みのない中~やや大型細胞が種々混在している.非ホジキンリンパ腫(non-Hodgkin lymphoma,NHL)のなかでも濾胞性リンパ腫,マントル細胞リンパ腫は白血化しやすい.出題図で示すように,濾胞性リンパ腫白血化細胞は一見急性リンパ性白血病(acute lymphocytic lymphoma,ALL)のL1細胞のように見えるが,核クロマチン性状は白血性リンパ芽球の如く微細ではない.また,細胞の結合性は緩く,一般的に散在していることが特徴の一つである.

 一方,出題の表の検査所見でもわかるように,atypical cellが94%出現しているにもかかわらず,網赤血球や血小板数は異常値を示していないし,Hbの低下もそれほど著明ではないなど,急性白血病態を反映していない.一般的にリンパ腫の白血化では,悪性細胞が20~30%以下の場合,血球算定値の多くは異常値を示さないことが多いので自動血球分析装置にはフラッグは立たず,器械や目視分類でも見逃されやすい.出題例の網赤血球数は約12万(絶対数)と増加を示しているが,一般的には6~8万以下であることが多く,網赤血球数の減少が一つの目安となる.

参考文献

1) 須知泰山,菊池昌弘(編):新・悪性リンパ腫アトラス,第1版.文光堂,pp2-97,2000
2) 川又紀彦:悪性リンパ腫の遺伝子異常.臨床医 24:956-958,1998
3) 尼川龍一:濾胞性リンパ腫.臨床医 27:12,45-47,2001
4) 室橋郁生:. 血球検査 6 . 悪性リンパ腫の分類.臨床病理 115(特集):54-63,2001
5) 中尾吉孝:当院における血液疾患患者の動向について.平成14年度大阪府医師会医学会総会抄録集,大阪府医師会医学会,p123,2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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