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Laboratory Practice 血液:末梢血血液像における鑑別困難な血球・3
好中球とその異常
著者: 塚本裕美1 東克巳1
所属機関: 1東京大学医学部附属病院検査部
ページ範囲:P.260 - P.263
文献購入ページに移動好中球は正常末梢血中で最も数が多い細胞である.そのため好中球は染色の良否判定や血球サイズの比較対象細胞として用いられている.したがってまず,この正常好中球の性状をしっかり把握しておくことが重要である.
正常好中球は細胞直径12~15μmの円形で,核形は曲がった細長い帯状の桿状核好中球と,複数に分節して核糸でつながっている分節核好中球とに分けられている.メイ-ギムザ染色(May-Giemsa stain)では核の色は濃紫赤色に染まり,クロマチン構造は非常に粗大で塊状である.核小体は見られない.細胞質は特殊顆粒である微細な中性好性顆粒が見られ,淡いピンク色に染まる.また,この顆粒以外に紫色の顆粒が多数散在している.
好中球は鑑別困難な血球の部類には入らないかもしれないが,種々見られる好中球形態の異常はそれぞれ原因が異なる.例えば好中球の形態異常には中毒性(アズール)顆粒,低顆粒や顆粒欠損などの顆粒異常,デーレ小体(Dohle body)や空胞形成などの封入体として見られる細胞質の異常がある.さらに核の分節が5分節以上見られる過分節好中球やペルゲルの核異常(Pelger-Huet nuclear anomaly)など核の形態異常が見られる.
今回は同じような形態異常を示すが,その異なる原因について解説した.
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