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HBs抗原とHBs抗体との共存例
著者: 下広寿1 橋本尚美1 小谷和彦2
所属機関: 1鳥取大学医学部附属病院検査部 2鳥取大学医学部臨床検査医学
ページ範囲:P.268 - P.270
文献購入ページに移動HBs抗原(hepatitis B surface antigen,B型肝炎表面抗原)はウイルス表面(surface)に対する抗原で,現在の感染状態のマーカーである.一方,HBs抗体(hepatitis B surface antibody,B型肝炎表面抗体)はそれに対する抗体で,過去の感染またはワクチン接種による抗体獲得のマーカーである1).学生の頃に教科書で学んだ,HBV(hepatitis B virus,B型肝炎ウイルス)関連マーカーの急性感染時と持続感染時とにおける推移図を思い出してほしい.その図には,HBs抗原とHBs抗体が共存する時期は基本的にはなかったはずである(図1)2).
しかし,現実には表1のようなケースは存在する.「HBs抗原とHBs抗体との共存例」である.さて,この現象にどう対応し,どう説明をつけたらよいのだろうか.「教科書どおりではなく,このようなことは何かの間違いである」としてしまってよいのだろうか.HBs抗原とHBs抗体とが同時に陽性を示したケースに出遭ったら,どう対応するか,教科書と見比べながらともに考えてみたい.
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