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雑誌文献

検査と技術34巻3号

2006年03月発行

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HBs抗原とHBs抗体との共存例

著者: 下広寿1 橋本尚美1 小谷和彦2

所属機関: 1鳥取大学医学部附属病院検査部 2鳥取大学医学部臨床検査医学

ページ範囲:P.268 - P.270

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[こんなはずはない]

 HBs抗原(hepatitis B surface antigen,B型肝炎表面抗原)はウイルス表面(surface)に対する抗原で,現在の感染状態のマーカーである.一方,HBs抗体(hepatitis B surface antibody,B型肝炎表面抗体)はそれに対する抗体で,過去の感染またはワクチン接種による抗体獲得のマーカーである1).学生の頃に教科書で学んだ,HBV(hepatitis B virus,B型肝炎ウイルス)関連マーカーの急性感染時と持続感染時とにおける推移図を思い出してほしい.その図には,HBs抗原とHBs抗体が共存する時期は基本的にはなかったはずである(図1)2)

 しかし,現実には表1のようなケースは存在する.「HBs抗原とHBs抗体との共存例」である.さて,この現象にどう対応し,どう説明をつけたらよいのだろうか.「教科書どおりではなく,このようなことは何かの間違いである」としてしまってよいのだろうか.HBs抗原とHBs抗体とが同時に陽性を示したケースに出遭ったら,どう対応するか,教科書と見比べながらともに考えてみたい.

参考文献

1) 松橋直,浅川英男,戸澤秀樹:最新臨床免疫学.講談社,pp120-122,1994
2) 荒川泰行,天木秀一,森山光彦,他:B型肝炎の診断プロトコル.Medical Technology 27:98-107,1999
3) 黒川清,斎藤英彦,矢崎義雄:EBM現代内科学.金芳堂,p960,1997
4) 赤羽賢浩,清沢研道,長田敦夫,他:慢性HBs抗原carrier血清中に稀れならず検出されるanti-HBs活性について.肝臓 22:377-382,1981
5) 坂内誠,仲田健一,竹中道子,他:HBs抗原弱陽性献血者のHBc抗体,HBs抗体.日本輸血学会雑誌 37:419-492,1991
6) 伊原弘美,佐山そま子,葛間一裕,他:低濃度HBs抗原陽性血でのHBs抗体共存例について.血液事業 15:490-492,1992
7) 岡本宏明:HBs抗体エスケープ変異株,感染防止上および診断上の問題点.日本臨牀 53:212-221,1995

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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