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文献詳細

雑誌文献

検査と技術34巻4号

2006年04月発行

文献概要

ラボクイズ

3月号の解答と解説

著者: 吉澤梨津好1

所属機関: 1(財)倉敷中央病院臨床検査室

ページ範囲:P.345 - P.345

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【問題1】 解答:④上皮円柱と上皮円柱

解説:本症例に見られる細胞は,図1-a,cともに上皮円柱である.図1-aは弱拡大(100倍)の全体像から円柱であることがわかる.図1-bの強拡大(400倍)からは,顆粒円柱に洋梨・紡錘型の細胞が付着していることがわかる.洋梨・紡錘型の細胞は移行上皮細胞か尿細管上皮細胞かの鑑別が必要であるが,細胞質が非常に薄いこと,細胞質の辺縁が不明瞭なこと,円柱に付着していることなどから尿細管上皮細胞と判別できる.円柱の分類については,「尿沈渣検査法2000」の複合円柱の考えかたによると,硝子円柱または顆粒円柱の基質に細胞成分を3個以上含有または付着している場合は,その細胞成分の円柱としてカウントするとなっているので,図1-aの円柱は上皮円柱に分類できる.図1-cは普段見慣れた円柱とは異なるが,周りに付着している細胞成分は図1-a,b同様に尿細管上皮細胞の洋梨・紡錘型と判別できる.真中の青く染まった部分は,硝子成分か顆粒成分かの判別は難しいが,円柱の基質部分であると思われ,図1-cの成分は図1-aのような円柱を横断面で観察したものと考えられる.

【問題2】 解答:③尿細管上皮細胞と尿細管上皮細胞

解説:本症例に見られる細胞は,図2-a,bともに尿細管上皮細胞である.図2-aは角柱・角錐台型の尿細管上皮細胞の側面像である.この細胞の特徴は,内腔側と基底膜側とがほぼ平行で,核が濃縮状で青色調に,細胞質が赤紫色調に染まることである.図2-bは同じく角柱・角錐台型の尿細管上皮細胞を立体的にみた正面像である.内腔側は明瞭に染まるが,やや広い基底膜側は淡く染まり,細胞質の辺縁は不明瞭である.このような角柱・角錐台型の尿細管上皮細胞は,主に遠位尿細管や集合管由来と考えられている.

参考文献

1) (社)日本臨床衛生検査技師会:尿沈渣検査法2000(GP1-P3).日本臨床衛生検査技師会,2000
2) 八木靖二,都竹正文:尿中細胞アトラス.医歯薬出版,1998
3) 吉澤梨津好:尿沈渣,ちょっと耳寄りな知識,情報.第9回中国地区一般検査研修会テキスト,pp32-44,2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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