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文献詳細

雑誌文献

検査と技術34巻4号

2006年04月発行

Laboratory Practice 管理

―臨床検査室の構造改革―検査業務の見直し・2

著者: 相原雅典1

所属機関: 1高根病院検査部

ページ範囲:P.358 - P.361

文献概要

包括医療時代の病院内検査室の運営

 1 . 今後の医療を展望する

 2004年から医療機関にDPC(Diagnosis Procedure Combination,一日定額払い制度)が導入され始めた.しかし現状のDPCは,各医療機関の過去の実績を踏まえ,収益が保証されるように計算されるシステムがとられている.しかしこのような,いかにも中途半端な制度が包括医療の最終目標とは到底考えられない.国はこれまでも新しい政策,特に国民に負担を強いる政策を実施する前に必ずアメをなめさせる政策を採っており,その意味からも現状のDPCはアメであり,数年後にはムチの政策〔多分,日本型DRG/PPS:Diagnosis Related Group(疾患別診断群)/Prospective Payment System(包括支払い方式)〕が導入されると考えるべきであろう.例えば,MRSA(methicillin-resistant Staphylococcus aureus,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)感染対策を全医療機関に実施させるに当たり5点のMRSA管理加算を与えたが,その後多くの医療機関で感染対策が機能し始めたとみるや管理加算を廃止し,逆に感染対策に熱心ではない施設から-5点の管理減算を取り立てる策を採ったことは記憶に新しい.

 日本型DRG/PPSがどのような形となるのかわからないが,診断のための疾患分類は既にでき上がっているし,疾患別に必要な経費や入院日数もDPCの経験でおおよそ掴めたに違いない.全体の流れは確実に厳しい包括化に進んでおり,保険の国家管理を民間へ移行する準備も着々と進められている.米国型の医療体系を米国型の保険制度で賄う時代が,間近に迫っていると考えざるをえない.

参考文献

1) 管野治重,川上小夜子(編):感染症診断に必要な微生物検査 2 . 感染症別検査法の整理,1呼吸器感染症.ライフサイエンス,2003
2) 相原雅典:塗抹標本の顕微鏡検査で得るべき情報.細胞 36:134-137,2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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