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文献詳細

雑誌文献

検査と技術34巻4号

2006年04月発行

文献概要

どうする?パニック値 生化学

8.血中Ca濃度異常値

著者: 岡田一義1 丸山範晃2 松本紘一2

所属機関: 1日本大学医学部内科学講座腎臓内分泌内科部門・透析室 2日本大学医学部内科学講座腎臓内分泌内科部門

ページ範囲:P.382 - P.383

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 体内には約1kgのカルシウム(Ca)があるが,その99%は骨にヒドロキシアパタイトとして存在し,残りの1%が軟部組織や細胞内外液中に存在する.骨と細胞外液との間では,約500mg/日のCaが骨吸収により骨から細胞外液へ,また骨形成により細胞外液から骨へと移動し,平衡を維持している.Caを多く摂取する人の食事には約1g/日 のCaが含まれ,小腸でそのうち40%が吸収され,大腸で約300mgが分泌されるので,便中には食物中の90%のCaが排泄され,10%の約100mg/日 が腸管から吸収される.血清Ca濃度は約10mg/dlに保たれ,約4mg/dlはアルブミンと(一部グロブリンとも),約1mg/dlはほかのイオン(無機リン,クエン酸など)と結合した形で存在し,残りの約5mg/dlがCaイオンとして存在する.血液中に存在するCaは約1%にすぎないが,種々の生理機能調節に重要な役割を果たしており,血清Caイオン濃度は副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone,PTH)とビタミンDにより一定に制御されている.蛋白結合Ca濃度以外の約6mg/dlが糸球体で濾過され,その99%近くが再吸収され,腸管から吸収された量(約100mg/日)が尿中に排泄されている.

 当院の基準:8.8~10.8mg/dl.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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