文献詳細
文献概要
復習のページ
血液型と小腸性ALP
著者: 松下誠1
所属機関: 1埼玉県立大学保健医療福祉学部健康開発学科検査技術科学専攻
ページ範囲:P.390 - P.392
文献購入ページに移動[不思議な現象]
学生時代に大学の図書館で「血清中の小腸型ALP(alkaline phosphatase,アルカリホスファターゼ)がB型またはO型の分泌型の血液型に依存して出現する」と書かれた参考書をみたことがあります.その当時は,何気なく目にした一文でしたが,実際に就職してアイソザイム検査に従事してみると「ほんとうに不思議な現象があるものだ」と実感したことが思い出されます.今では,臨床検査技師を目指している学生や生化学検査室に勤務している人にとっては,周知の事実です.ちなみに,過去の国家試験においても数回出題され,また臨床化学の教科書や一般読者向けの検査データの解説書などにも同様の説明がなされています.
ところで,血液型と小腸型ALPとの関連性について調べてみると,それは1960年代にまで遡ることになります1).それにしても,最初にこの事実を報告した人は「なぜALPと血液型との関係を調べたのだろう」,「小腸型ALPが血液型に関連すると考えた根拠はどこにあったのだろう」などとしばしば考えることがあります.過去の論文を読む限りその具体的な根拠は示されていませんが,最初の報告者の創造性や着眼点には敬意を表したいものです.
学生時代に大学の図書館で「血清中の小腸型ALP(alkaline phosphatase,アルカリホスファターゼ)がB型またはO型の分泌型の血液型に依存して出現する」と書かれた参考書をみたことがあります.その当時は,何気なく目にした一文でしたが,実際に就職してアイソザイム検査に従事してみると「ほんとうに不思議な現象があるものだ」と実感したことが思い出されます.今では,臨床検査技師を目指している学生や生化学検査室に勤務している人にとっては,周知の事実です.ちなみに,過去の国家試験においても数回出題され,また臨床化学の教科書や一般読者向けの検査データの解説書などにも同様の説明がなされています.
ところで,血液型と小腸型ALPとの関連性について調べてみると,それは1960年代にまで遡ることになります1).それにしても,最初にこの事実を報告した人は「なぜALPと血液型との関係を調べたのだろう」,「小腸型ALPが血液型に関連すると考えた根拠はどこにあったのだろう」などとしばしば考えることがあります.過去の論文を読む限りその具体的な根拠は示されていませんが,最初の報告者の創造性や着眼点には敬意を表したいものです.
参考文献
1) Langman MJS, Leuthold E: Influence of diet on the intestinal component of serum alkaline phosphatase in people of different ABO blood groups and secretor status. Nature 212:41-44,1966
2) Bayer PM, Hotschek H, Knoth E: Intestinal alkaline phosphatase and the ABO blood group system ―a new aspect. Clin Chim Acta 108:81-88,1980
3) Komoda T, Sakagishi Y, Sekine T: Multiple forms of human intestinal alkaline phosphatase: chemical and enzymatic properties, and circulating clearances of the first-and slow-moving enzymes. Clin Chim Acta 117:167-187,1981
4) Matsushita M, Irino T, Stigbrand T, et al: Changes in intestinal alkaline phosphatase isoforms in healthy subjects bearing the blood group secretor and non-secretor. Clin Chim Acta 277:13-24,1998
5) Van Hoof VO, Hoylaerts MF, Geryl H, et al: Age and sex distribution of alkaline phosphatase isoenzymes by agarose electrophoresis. Clin Chem 36:875-878,1990
6) 松下誠,入野勤,菰田二一:BまたはO型で分泌型の血液型に依存して出現する高分子小腸型アルカリ性ホスファターゼと小腸型バリアントとの関連性.生物物理化学 44:135-138,2000
7) Matsushita M, Irino T, Komoda T, et al: The effect of different buffers and amounts of intestinal alkaline phosphatase isoforms on total alkaline phosphatase activity. Clin Chim Acta 319:49-55,2002
掲載誌情報