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文献詳細

雑誌文献

検査と技術34巻5号

2006年05月発行

文献概要

連載 臨床医からの質問に答える

尿検体の保存方法について質問されたら

著者: 早川美恵子1

所属機関: 1慶應義塾大学病院中央臨床検査部

ページ範囲:P.446 - P.448

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背 景

 尿は痛みを伴わずに採取でき,多くの情報が得られるため,簡便な検査と思われがちである.しかし,採尿のタイミングや保存の方法を間違えると,検査結果に大きな影響を与える要因が非常に多い.にもかかわらず,検査結果から,保存状態の不備を推察することは難しい.一方,検査部が検体を受付けられる時間は限られているのが現状である.蓄尿が終了した時間には,検査室の受付時間を過ぎてしまって,提出できないこともしばしばある.また,外来患者さんには,自宅で蓄尿してきていただく機会も多く,採尿と保存とについて,いかに正確に説明できるかが検査の正確性を左右することになる.

 検査室で,いくら厳しく分析機の精度管理を行っていたとしても,臨床での保存方法を誤ってしまった場合には,患者さんの症状を正しく反映する検査情報は得られないのである.たとえ分析した数値が再検値と等しい結果であったとしても,それは“正しい検査結果”とは言い難いのだということを,われわれは肝に銘じておかなければならない.

参考文献

1) 菊池春人:これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集 一般検査/尿検査 尿定性検査(尿試験紙検査).medicine 42(増刊号):32-34,2005
2) 伊藤機一,野崎司:概論:試験紙法による尿定性・半定量検査.日本臨牀 57:45-88,1999
3) 藤崎誠:アミノ酸分画検査の基礎と臨床.栄養と健康のライフサイエンス Vol.4 No.2.学文社,pp9-14,1999

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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