文献詳細
検査じょうほう室 微生物 感染症検査の迅速化・1
文献概要
はじめに
従来の微生物検査は感染症の原因菌を特定する手段として“菌種名”が重視されてきた.このため菌種名を得るため,培養検査が微生物検査の中心であった.微生物検査の所要時間も分離と同定とに要する時間から規定されてきた.菌種同定に要する時間として大腸菌や黄色ブドウ球菌などの速育菌で1~2日,発育の遅い嫌気性菌で2~7日を要する.このため微生物検査は“時間がかかる検査”として扱われ,検査時間を短縮する試みはほとんど行われてこなかった.しかし抗菌薬の進歩は著しく,原因菌に有効な抗菌薬が使用された場合は3~5時間で細菌学的効果が,24時間以内には臨床効果が確認できる.培養検査の結果は臨床効果が確認された後に届くため,“初期治療の的確さを確認する検査”あるいは“初期治療に失敗した場合の保険的検査”の役割が主であった.
このような検査でも医療費が出来高払い制度の時代には検査費用が保険で認められ医療機関がもうかるために容認されてきた.しかしこのような時代はもうすぐ終わろうとしている.これからは医療費の定額払い制度が導入され,無駄な医療行為は厳しく淘汰される時代になる.このような状況は微生物検査を見直す絶好の機会であり,特に検査の迅速化は将来の感染症検査の最重要課題として検査室が真剣に取り組むべき課題である.
従来の微生物検査は感染症の原因菌を特定する手段として“菌種名”が重視されてきた.このため菌種名を得るため,培養検査が微生物検査の中心であった.微生物検査の所要時間も分離と同定とに要する時間から規定されてきた.菌種同定に要する時間として大腸菌や黄色ブドウ球菌などの速育菌で1~2日,発育の遅い嫌気性菌で2~7日を要する.このため微生物検査は“時間がかかる検査”として扱われ,検査時間を短縮する試みはほとんど行われてこなかった.しかし抗菌薬の進歩は著しく,原因菌に有効な抗菌薬が使用された場合は3~5時間で細菌学的効果が,24時間以内には臨床効果が確認できる.培養検査の結果は臨床効果が確認された後に届くため,“初期治療の的確さを確認する検査”あるいは“初期治療に失敗した場合の保険的検査”の役割が主であった.
このような検査でも医療費が出来高払い制度の時代には検査費用が保険で認められ医療機関がもうかるために容認されてきた.しかしこのような時代はもうすぐ終わろうとしている.これからは医療費の定額払い制度が導入され,無駄な医療行為は厳しく淘汰される時代になる.このような状況は微生物検査を見直す絶好の機会であり,特に検査の迅速化は将来の感染症検査の最重要課題として検査室が真剣に取り組むべき課題である.
参考文献
1) 菅野治重:微生物検査から感染症検査へ.臨床と微生物 31:631-712,2004
2) 菅野治重:感染症検査の迅速化の課題.細胞 36:16-18,2004
掲載誌情報