文献詳細
文献概要
検査じょうほう室 生化学 腫瘍マーカー・3
肝癌マーカー
著者: 花尻和幸1 光井洋1
所属機関: 1東京大学医学部附属病院消化器内科
ページ範囲:P.473 - P.476
文献購入ページに移動はじめに
わが国における肝細胞癌の9割強はB型,C型のウイルス性慢性肝炎,肝硬変を発生母地としており,特に肝硬変からの発癌率は年率7%にも達している.肝細胞癌の腫瘍マーカーは,これら高危険群に対する定期的スクリーニングにおいて,主に超音波検査などの画像検査とともに,重要な役割を担うことになる1,2).なぜなら,早期診断に基づき根治的治療の選択を可能にするだけでなく,予後の予測,治療効果の判定,再発の指標としても威力を発揮しているからである.
今回,肝細胞癌の診断に広く使用されているα-フェトプロティン(α-fetoprotein,AFP),その糖鎖変異であるAFPレクチン分画(AFP-L3)とPIVKA-Ⅱ(protein induced by vitamin K absence or antagonist-Ⅱ,ビタミンKの欠乏ないし拮抗により誘発される蛋白質-Ⅱ)について述べる.肝細胞癌に対するラジオ波焼灼療法が確立され3),癌発生の母地である慢性肝炎に対しても広くインターフェロン治療が行われている現在,これらの腫瘍マーカーと熟達した画像検査とを併用することで,根治的治療の機会が増え,生存率の向上,ひいては肝癌撲滅にもつながるものと予想される.ちなみに,わが国では,他国に例をみないことに,これら3種の腫瘍マーカーがいずれも保険適用であり,広く用いられている.
わが国における肝細胞癌の9割強はB型,C型のウイルス性慢性肝炎,肝硬変を発生母地としており,特に肝硬変からの発癌率は年率7%にも達している.肝細胞癌の腫瘍マーカーは,これら高危険群に対する定期的スクリーニングにおいて,主に超音波検査などの画像検査とともに,重要な役割を担うことになる1,2).なぜなら,早期診断に基づき根治的治療の選択を可能にするだけでなく,予後の予測,治療効果の判定,再発の指標としても威力を発揮しているからである.
今回,肝細胞癌の診断に広く使用されているα-フェトプロティン(α-fetoprotein,AFP),その糖鎖変異であるAFPレクチン分画(AFP-L3)とPIVKA-Ⅱ(protein induced by vitamin K absence or antagonist-Ⅱ,ビタミンKの欠乏ないし拮抗により誘発される蛋白質-Ⅱ)について述べる.肝細胞癌に対するラジオ波焼灼療法が確立され3),癌発生の母地である慢性肝炎に対しても広くインターフェロン治療が行われている現在,これらの腫瘍マーカーと熟達した画像検査とを併用することで,根治的治療の機会が増え,生存率の向上,ひいては肝癌撲滅にもつながるものと予想される.ちなみに,わが国では,他国に例をみないことに,これら3種の腫瘍マーカーがいずれも保険適用であり,広く用いられている.
参考文献
1) 日本肝臓学会(編):慢性肝炎の治療ガイド.文光堂,2006
2) 科学的根拠に基づく肝癌診療ガイドライン作成に関する研究班(編):科学的根拠に基づく肝癌診療ガイドライン2005年版.金原出版,2005
3) 小俣政男,椎名秀一朗,寺谷卓馬,他:ラジオ波焼灼療法.医学書院,2005
4) 日本肝癌研究会:第16回全国原発性肝癌追跡調査報告(2000~2001),2004
5) Ikoma J, Kaito M, Ishihara T, et al: Early diagnosis of hepatocellular carcinoma using a sensitive assay for serum des-γ-carboxy prothrombin: a prospective study. Hepatogastroenterology 49:235-238,2002
6) Shimauchi Y, Tanaka M, Kuromatsu R, et al: A simultaneous monitoring of Lens culinaris agglutinin A-reactive alpha-fetoprotein and des-gamma-carboxy prothrombin as an early diagnosis of hepatocellular carcinoma in the follow-up of cirrhotic patients. Oncol Rep 7:249-256,2000
7) Nomura F, Ishijima M, Kuwa K, et al: Serum des-gamma-carboxy prothrombin levels determined by a new generation of sensitive immunoassays in patients with small-sized hepatocellular carcinoma. Am J Gastroenterol 94:650-654,1999
8) Koike Y, Shiratori Y, Sato S, et al: Des-γ-carboxy prothrombin as a useful predisposing factor for the development of portal venous invasion in patients with hepatocellular carcinomau:ua prospective analysis of 227 patients. Cancer 91:561-569,2001
9) Tateishi R, Shiina S, Teratani T, et al: Percutaneous radiofrequency ablation for hepatocellular carcinoma. An analysis of 1000 cases. Cancer 103:1201-1209,2005
10) Capurro M, Wanless IR, Sherman M, et al: Glypican-3u:ua novel serum and histochemical marker for hepatocellular carcinoma. Gastroenterology 125:89-97,2003
掲載誌情報