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文献詳細

雑誌文献

検査と技術34巻5号

2006年05月発行

文献概要

けんさ質問箱Q&A

大量の体腔液を細胞診にかけるための処置法は

著者: 牛島友則1

所属機関: 1NTT東日本関東病院病理診断部

ページ範囲:P.487 - P.488

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2~3lもの体腔液が出たとき,細胞診検査のために全部を遠心する必要があるかどうかを含めて,その処置法を教えてください.(岐阜市 A.O.生)

 はじめに

 体腔液細胞診の主たる目的は,癌細胞が存在するかどうかを確認することです.したがって,闇雲に大量の体腔液を使ってたくさんの標本を作製したからといって診断精度が向上するというわけではありません.適切な量の細胞から観察しやすい標本を効率よく作製することが大切です.したがって,2~3lもの検体をすべて遠心する必要はないと思います.

 体腔液は基本的には未固定のため,固定するまでの時間に比例して望ましくない細胞形態の変化が起こります.そこで,あらかじめ二段階の検体処理の工程を準備することをお勧めします.まず,肉眼的な検体の性状を観察し,漿液性,血性,膿性,乳び性,粘液性のどれなのかを確かめます.体腔液の性状から原因疾患の推定が可能であることはよく知られていますが,大量の検体の場合,肉眼的にその体腔液中にどれくらい細胞が入っているか推測することが重要となります.軽く混和した検体について下記の観察を行い,100ml程度処理して残りは室温で静置します.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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