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文献詳細

雑誌文献

検査と技術34巻6号

2006年06月発行

文献概要

病気のはなし

結核

著者: 佐々木結花1

所属機関: 1国立病院機構千葉東病院呼吸器科

ページ範囲:P.510 - P.514

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サマリー

 肺結核は,再興感染症として注目を浴びており,世界的にみてもわが国の結核罹患率は中蔓延状態を呈している.結核菌は空気感染形式をとり,周囲に感染が拡大する要因として,喀痰塗抹陽性者が早期診断なされないことが挙げられる.確定診断は菌の検出であり,現在,均等化後遠心集菌材料を用い,塗抹・培養検査を行う.治療はINH(イソニコチン酸サリチル酸),RFP(リファンピシン)を中心とした複数の抗結核薬を組み合わせて投与する.一定期間確実な服薬を行わなければ薬剤耐性菌の出現も生じるため,服薬支援としてDOTSが世界的に行われている.本邦における菌陽性肺結核患者の死亡率は10.1%と不良である.公衆衛生学的見地から結核を封じ込める対策を今後も継続する必要がある.

参考文献

1) 厚生労働省健康局結核感染症課(編):結核の統計2004.(財)結核予防会,2004
2) Chiba Y:Significance of endogenous reactivation, 30 year follow-up of tuberculin positive converters. Bull IUAT 49:321-324,1974
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4) 森亨編:結核院内(施設内)感染予防の手引き.(財)結核予防会.2000
5) 佐々木結花:結核患者発見の遅れの研究.結核 77:621-625,2002
6) 佐々木結花,山岸文雄,八木毅典,他:有症状受診にて発見された肺結核症例の発見の遅れの検討―特に診断の遅れについて.結核 75:527-532,2000
7) 日本結核病学会治療・社会保険・抗酸菌検査法検討合同委員会:新しい結核菌検査法の臨床での利用について.結核 75:681-684,2000
8) 日本結核病学会治療委員会:「結核医療の基準」の見直し.結核 77:537-538,2002
9) 厚生労働省:今後の結核対策の推進・強化に関する課長通知(平成15年2月20日,健感発0220001号)
10) 佐々木結花,山岸文雄,八木毅典,他:広汎空洞型(b3)肺結核症例の臨床的検討.結核 77:443-448,2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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