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文献詳細

雑誌文献

検査と技術34巻6号

2006年06月発行

文献概要

連載 臨床医からの質問に答える

インフルエンザウイルスの抗原検査について質問された

著者: 木下承晧1

所属機関: 1神戸大学医学部附属病院感染制御部

ページ範囲:P.545 - P.549

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 はじめに

 インフルエンザは,ヒトからヒトに伝播する感染症であり毎年流行がある.わが国では感染症法のインフルエンザ(高病原性鳥インフルエンザを除く)は五類感染症定点把握疾患に定められており,インフルエンザ定点医療機関の報告が義務づけられている1).流行は空気が乾燥する冬季の11月から4月にかけて起こるが,夏季にも発症例がある.感染は,ウイルス粒子を含んだ咳やくしゃみによる分泌物が気道粘膜に付着する飛沫感染や鼻汁などによる接触感染である.

 発症は24~48時間の潜伏期間を経て,急激な発熱,悪寒,関節痛などを伴う急性型であり,通常は1週間で自然に治癒し,風邪症候群とは異なる.表1に示すとおり突然の発症があり,38℃以上の発熱の持続,上気道症状を伴う全身倦怠感がある場合は,臨床的にインフルエンザと診断される2)

 従来,インフルエンザの診断は医師による臨床診断を中心に行われていたが,近年,インフルエンザ抗原の迅速測定キットが用いられるようになり,早期診断と治療とが急速に普及するようになった3~7)

参考文献

1) 神戸市保健所:感染症法に基づく感染症の届出基準,消毒・滅菌の手引き.2004
2) Infectious Disease Surveillance Center:感染症の話.インフルエンザ,2004
3) 三田村敬子,山崎雅彦,市川正孝:インフルエンザの迅速診断.小児科臨床 55:503-509,2002
4) 進藤静生,高崎好生,山下祐二,他:インフルエンザの診断―小児科領域における臨床診断と迅速診断キットによる診断について.インフルエンザ 5:43-49,2004
5) 羽田敦子,浅田純子,水本洋,他:インフルエンザウイルス抗原迅速診断検査利用法―最適な検査時期について1考案,感染症学雑誌 78:846-851,2004
6) 三田村敬子:小児におけるインフルエンザの迅速診断と治療のポイント.The medical & test journal 951,9,2005
7) 原三千丸,高尾信一,福田伸治,他:B型インフルエンザに対する4種類のイムノクロマト法迅速診断キットの比較検討.感染症学雑誌 79:803-811,2005
8) 武田紳江,黒崎知道,中村明:A型インフルエンザ流行期の小児における塩酸アマンタジンの使用経験.感染症学雑誌 74:6-11,2000
9) Whitley RJ, Hayden FG, Reisinger KS, et al:Oral oseltamivir treatment of influenza in children. Pediatr Infect Dis J 20:127-133,2001
10) 三田村敬子,菅谷憲夫,韮沢真理,他:小児のA型及びB型インフルエンザに対するoseltamivirの効果.感染症学雑誌 76:946-952,2002
11) 菅谷憲夫:抗インフルエンザ薬.臨床と微生物 30:567-571,2003
12) CDC:Respiratory Hygiene/Cough Etiquette in Healthcare Settings. 2004
13) 藤澤和郎,眞弓光文:抗インフルエンザ薬によるA型インフルエンザ治療後のウイルス抗原検出率.日本小児科学会雑誌 108:428-431,2004
14) 小澤真,河岡義裕:インフルエンザパンデミック―今そこにある危機.感染症学雑誌 80:1-8,2006
15) 財団法人阪大微生物研究所:http://www.biken.or.jp

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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