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連載 臨床医からの質問に答える
インフルエンザウイルスの抗原検査について質問された
著者: 木下承晧1
所属機関: 1神戸大学医学部附属病院感染制御部
ページ範囲:P.545 - P.549
文献購入ページに移動インフルエンザは,ヒトからヒトに伝播する感染症であり毎年流行がある.わが国では感染症法のインフルエンザ(高病原性鳥インフルエンザを除く)は五類感染症定点把握疾患に定められており,インフルエンザ定点医療機関の報告が義務づけられている1).流行は空気が乾燥する冬季の11月から4月にかけて起こるが,夏季にも発症例がある.感染は,ウイルス粒子を含んだ咳やくしゃみによる分泌物が気道粘膜に付着する飛沫感染や鼻汁などによる接触感染である.
発症は24~48時間の潜伏期間を経て,急激な発熱,悪寒,関節痛などを伴う急性型であり,通常は1週間で自然に治癒し,風邪症候群とは異なる.表1に示すとおり突然の発症があり,38℃以上の発熱の持続,上気道症状を伴う全身倦怠感がある場合は,臨床的にインフルエンザと診断される2).
従来,インフルエンザの診断は医師による臨床診断を中心に行われていたが,近年,インフルエンザ抗原の迅速測定キットが用いられるようになり,早期診断と治療とが急速に普及するようになった3~7).
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