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雑誌文献

検査と技術34巻6号

2006年06月発行

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pH色素の蛋白質誤差

著者: 鈴木優治1

所属機関: 1埼玉県立大学保健医療福祉学部健康開発学科検査技術科学専攻

ページ範囲:P.554 - P.555

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[蛋白質誤差とは何か]

 pH指示薬(色素)はpHにより連続的に変色(色調変化)するため溶液pHの測定に用いられる.しかし,蛋白質の存在下においては,“蛋白質誤差”と呼ばれる溶液のpH変化とは全く関係のない変色を起こす.蛋白質誤差とは,溶液pHが一定に保持されているにもかかわらず,蛋白質があたかも溶液pHが変化したかの如くpH指示薬を著しく変色させる現象である.例えば,pH2.4の緩衝溶液に溶解したブロムフェノールブルー(bromphenol blue,BPB)溶液は黄色であるが,この溶液にヒト血清アルブミンを加えると,BPB溶液はただちに緑色~青色に変色する(図).

 蛋白質の非存在下では,BPBの黄色から緑色~青色への変色はpHの上昇を意味するが,蛋白質添加後にもBPB溶液のpHは蛋白質添加前のpHと同じであるので,蛋白質添加による変色は蛋白質と色素の相互作用によりもたらされたことになる.このようにpH変化ではなく蛋白質により引き起こされる変色がpH指示薬の“蛋白質誤差”である.

参考文献

1) Suzuki Y:Guidance for selecting the measurement conditions in the dye-binding method for determining serum protein:theoretical analysis based on the chemical equilibrium of protein error. Anal Sci 17:1263-1268,2001
2) 鈴木優治:ブロムクレゾールパープルの蛋白誤差の化学特性に関する検討:蛋白誤差の化学平衡からみたヒトアルブミンとウシアルブミン間に著しい反応差を引き起こす要因.医学検査 52:1255-1260,2003
3) Suzuki Y:Theoretical analysis concerning the characteristics of a dye-binding method for determining serum protein based on protein error of pH indicator:effect of buffer concentration of the color reagent on the color development. Anal Sci 21:83-88,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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