文献詳細
文献概要
病気のはなし
大腸癌
著者: 小野里航1 中村隆俊1 井原厚1 渡邊昌彦1
所属機関: 1北里大学医学部外科
ページ範囲:P.622 - P.629
文献購入ページに移動大腸癌は結腸癌と直腸癌とに分類される.食生活や生活様式の欧米化に伴い,わが国の大腸癌の罹患率,死亡率は年々上昇している.病因としては腺腫から癌になる腺腫・癌相関(adenoma-carcinoma sequence)という多段階発癌モデルが有名である.好発年齢は男女とも60歳代が最も多く,男性に多い傾向がある.好発部位は直腸が全体の約1/3を,結腸のうちではS状結腸が最も多く全体の約1/4を占める.肉眼的形態は0~5型の6種類に分類され,2型が最も多く全体の約2/3を占める.組織学的には腺癌が最も多く,なかでも分化型(高分化腺癌,中分化腺癌)がその大部分を占める.診断としては免疫学的便潜血検査がスクリーニングとして用いられ,精密検査として注腸造影検査,大腸内視鏡検査などが行われ,組織検査により診断が確定される.治療としては,早期癌には内視鏡治療が選択されるが,内視鏡治療ができないものには手術(開腹・腹腔鏡下)が行われる.さらに病期に応じては化学療法や放射線治療などが追加される.予後は他の消化器癌に比べ比較的良好であり,全体の5年生存率は約70%である.
参考文献
掲載誌情報