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文献詳細

雑誌文献

検査と技術34巻7号

2006年07月発行

文献概要

今月の表紙

急性骨髄性白血病 FAB分類 M5a

著者: 高橋恵美子1 東克巳1

所属機関: 1東京大学医学部附属病院検査部

ページ範囲:P.659 - P.659

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 今回は,FAB分類(French-American-British classification)のM5a(monocytic leukemia poorly differentiated type)を取り上げた.FAB分類のM5aはWHO分類では骨髄系悪性新生物分類の中のacute myeloid not otherwise categorizedのacute monocytic leukemiaとなる.

 FAB分類のM5は,骨髄中の単球系の細胞(単芽球,前単球,単球)がNEC(nonerythroid cell:bone marrow cells excluding erythblasts)の80%以上で,顆粒球系は20%未満となる白血病である.M5aは単芽球が全単球系細胞の80%以上を占め,単芽球が全単球系細胞の80%未満で前単球が多数を占める場合はM5bとなる.単芽球は大型で好塩基性の豊富な細胞質を有し,空胞を認めることが多い.偽足形成や,稀ではあるがアウエル小体(Auer body)を認めることもある.核は円形から類円形で,クロマチン構造は繊細から粗網状もしくは繊細なレース状で,明瞭な核小体を1~数個認める.白血病細胞のPOD(peroxy-dase,ペルオキシダーゼ)反応もしくはSBB(Sudan black B,ズダン黒B)染色は典型例では陰性となることが多いが,散在性に陽性となる症例もある.単球系の細胞の証明にはES染色(esterase stain,エステラーゼ染色)を行う必要がある.単球系の細胞の場合,非特異的ES染色(α-naphthyl butyrate;α-NB,α-naphthyl acetate;α-NA)が強陽性でフッ化ナトリウム(NaF)阻害される.M4とは異なりES二重染色(α-NB/N-ASD-CAL染色)における特異的ES染色陽性細胞は少なく,存在してもNECの20%未満である.しかしながら,M5aの10~20%では非特異的ES染色が陰性か弱陽性となる症例が認められるので,その場合は細胞表面抗原検索などで単球系の証明が必要となる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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