文献詳細
文献概要
ラボクイズ
6月号の解答と解説
著者: 大田喜孝1
所属機関: 1聖マリア病院臨床検査部
ページ範囲:P.661 - P.661
文献購入ページに移動解説:細菌性髄膜炎は急激に発症し,頭痛,悪寒,発熱,嘔吐などとともに項部硬直やケルニッヒ徴候(Kernig sign)などの髄膜刺激徴候を認める.また,意識障害,脳神経症状などが出現することもある.早急な診断と治療を必要とし,治療が遅れると知能障害を残したり,最悪の場合死に至ることもある.主な原因菌として,新生児ではB群溶血性連鎖球菌,大腸菌,その他の腸内細菌が多く,小児では肺炎球菌,インフルエンザ菌が多い.成人では肺炎球菌,リステリア菌,緑膿菌,黄色ブドウ球菌,クレブシエラ,プロテウスなどが挙げられる.
細菌性髄膜炎では一般に著しい髄液細胞増多をきたし,そのため髄液が白濁して見られることが多い.出現する細胞のおよそ80%以上を好中球が占める.今回の症例の髄液細胞塗抹標本では変性した著しく多数の好中球を認めるなか,随所に双球菌が観察された(図1).微生物学的検索で肺炎球菌であることが判明したが,未治療例ではこのように細胞塗抹標本上に菌体を検出できる可能性が高い.
参考文献
掲載誌情報