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文献詳細

雑誌文献

検査と技術34巻7号

2006年07月発行

文献概要

連載 失敗から学び磨く検査技術 病理標本作製法

細胞診のアーティファクト―検体採取,塗抹,固定に由来するアーティファクト―乾燥

著者: 阿部仁1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部病理学教室

ページ範囲:P.670 - P.672

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 細胞に立体感がないし,構造を見てとることのできない標本だ.どうしてこんなことになったのだろうか.

 図1はリンパ節穿刺吸引材料の95%エタノール湿固定されたパパニコロウ染色(Papanicolaou stain)である.核がヘマトキシリンに無構造にべっとりと均一に染色されて,核内のクロマチン構造が明らかでない.また,各細胞間の細胞質境界も不明瞭で立体感がなく平面的で標本全体にぼやけた像になっている.図2の腹水も図1と同様に核内のクロマチン構造は不明瞭で,核小体らしきものがかろうじて見られる(↑).

 どうしてこのような見づらい,判定に困難をきたす標本になってしまったのだろうか.

参考文献

1) 阿部仁:細胞診のアーティファクト―検体採取,塗抹,固定に由来するアーティファクト―核線.検査と技術 34:542-544,2006
2) 細胞検査士(編):細胞診標本作製マニュアル,呼吸器,2003
3) 田村哲宣,谷村満知子,西山哲穂,他:スキムミルクを用いた乾燥標本によるパパニコロウ染色免疫染色の検討,細胞検査士会ホームページより.http://www.ctjsc.com

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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