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文献詳細

雑誌文献

検査と技術34巻7号

2006年07月発行

臨床検査フロンティア 検査技術を生かせる新しい職種

認定臨床化学者

著者: 小川善資1

所属機関: 1北里大学大学院医療系研究科生体制御生化学

ページ範囲:P.694 - P.695

文献概要

 はじめに

 臨床化学検査はこの20年で大変な進歩がありました.これに対応するため,マイルドな条件で,短時間に,正確で,安定な測定値を得られるようにさまざまな化学的工夫がなされ,次々と問題を解決し,飛躍的に進歩しました.その結果,他の分野にみられない,群を抜く,立派な測定法と分析システムとができました.この激しい進歩についていけない方々から,「臨床化学は分析装置も試薬もブラックボックス化が進んでいる」との批判が出るようになったくらいです.臨床化学を担当し,専門職と自認する臨床検査技師はこの進歩とともに歩み,さらなる発展に寄与してきました.しかし,測定法や分析機器が完全無比な状態になったわけではなく,さらなる改良,改善が必要です.分析機器の異常や分析試薬が引き起こすさまざまな問題に対し積極的にかかわり,現状よりさらに改善できる検査技師に成長する必要があります.さらに低濃度の物質を測定したい,もっと素早く測定したい,という要望に応えていく必要があります.

 さらに,臨床化学では病態を引き起こす原因を化学的に解明し,何を測定すれば確定診断につながるのか,何を測定すれば病態の予測が可能になるのかを明確にする仕事があります.化学の力を借りた病態解明は臨床化学に携わるわれわれの仕事の一つであることは明らかです.「肥満と糖尿病」,関係がありそうで,その化学的因果関係も明確ではありません.「糖尿病患者は心筋梗塞を起こしやすい」,しかし,この化学的因果関係は明白ではありません.このような問題は枚挙のいとまがありません.われわれの手で一つでも,二つでも明確にしていこうではありませんか.

 さて,既に一定の能力を有している方に,その力量を認定し,さらなる発展を後押しする目的で,日本臨床化学会が認定臨床化学者(Certified Clinical Chemist,JSCC)という資格を2002年度から与えるようになりました.認定臨床化学者がすべての分析装置にも,すべての化学反応に関しても精通しているとはいえないのかもしれませんが,資格をいただいたからには精通すべきであると自ら自認し,さらなる研鑽に励んでいます.多くの方々が資格を取り,自尊心を培って,おおいに仕事をしようではありませんか.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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