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文献詳細

雑誌文献

検査と技術34巻7号

2006年07月発行

文献概要

どうする?パニック値 血液

10.フィブリノゲン低値

著者: 松尾収二1

所属機関: 1天理よろづ相談所病院臨床病理部

ページ範囲:P.696 - P.697

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 フィブリノゲン(fibrinogen,以下Fibg)は分子量約340kDaの糖蛋白質で半減期は3~5日である.機能としてはフィブリン形成による止血機能以外に,血小板表面のGPⅡb/Ⅲaへ結合して血小板凝集に関与する他,第ⅩⅢ因子とともにそう傷治癒に関与したり,急性相蛋白質として生体防御に関与するなどの機能が挙げられる.臨床的には出血素因や播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation,DIC)の診断に不可欠な検査でありパニック値の設定とその速報は有用である.

当院の基準

 パニック値:60mg/dl以下(凝固法).

 基準範囲:170~370mg/dl.

 Fibg50~60mg/dl以下になると出血しやすい.出現頻度は1%程度である.ただし,パニック値として100mg/dl以下の設定でもよい.その理由は,DICの原因の一つである感染症の際,Fibgは急性相蛋白質として増加に傾いているので,100mg/dlという中等度の減少でも重篤なDICを示唆するためである.パニック値を100mg/dlに上げると,その分出現頻度は高くなり,仕事量も増えるが,臨床情報と併せて判断できる態勢があれば望ましいかもしれない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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