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文献概要
病気のはなし
甲状腺癌
著者: 村上正巳1
所属機関: 1群馬大学大学院医学系研究科病態検査医学
ページ範囲:P.812 - P.818
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甲状腺の悪性腫瘍の頻度は高いが,進行が緩徐なものが多く,剖検時の潜在癌として見いだされるものも多い.甲状腺の悪性腫瘍の代表的なものには,乳頭癌,濾胞癌,未分化癌,髄様癌や悪性リンパ腫がある.頻度の高い乳頭癌や濾胞癌は,進行が緩徐で,予後もよいが,未分化癌は,進行が早く予後が極めて不良である.髄様癌は,家族性に発生するものがあり,多発性内分泌腺腫症2型の部分症としてみられることがある.Ret癌遺伝子検査による発症前診断が可能となっている.悪性リンパ腫は橋本病を基盤として起こることが多い.甲状腺悪性腫瘍の診断には一般に穿刺吸引細胞診が有用であるが,濾胞癌と良性の濾胞腺腫との鑑別は困難である.
甲状腺の悪性腫瘍の頻度は高いが,進行が緩徐なものが多く,剖検時の潜在癌として見いだされるものも多い.甲状腺の悪性腫瘍の代表的なものには,乳頭癌,濾胞癌,未分化癌,髄様癌や悪性リンパ腫がある.頻度の高い乳頭癌や濾胞癌は,進行が緩徐で,予後もよいが,未分化癌は,進行が早く予後が極めて不良である.髄様癌は,家族性に発生するものがあり,多発性内分泌腺腫症2型の部分症としてみられることがある.Ret癌遺伝子検査による発症前診断が可能となっている.悪性リンパ腫は橋本病を基盤として起こることが多い.甲状腺悪性腫瘍の診断には一般に穿刺吸引細胞診が有用であるが,濾胞癌と良性の濾胞腺腫との鑑別は困難である.
参考文献
1) Fagin JA:Molecular genetics of tumors of thyroid follicular cells. Braverman LE and Utiger RD (ed):Werner & Ingbar's The Thyroid:A fundamental and clinical text. 9th ed. Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, pp906-927,2005
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