icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術34巻9号

2006年09月発行

文献概要

病気のはなし

甲状腺癌

著者: 村上正巳1

所属機関: 1群馬大学大学院医学系研究科病態検査医学

ページ範囲:P.812 - P.818

文献購入ページに移動
サマリー

 甲状腺の悪性腫瘍の頻度は高いが,進行が緩徐なものが多く,剖検時の潜在癌として見いだされるものも多い.甲状腺の悪性腫瘍の代表的なものには,乳頭癌,濾胞癌,未分化癌,髄様癌や悪性リンパ腫がある.頻度の高い乳頭癌や濾胞癌は,進行が緩徐で,予後もよいが,未分化癌は,進行が早く予後が極めて不良である.髄様癌は,家族性に発生するものがあり,多発性内分泌腺腫症2型の部分症としてみられることがある.Ret癌遺伝子検査による発症前診断が可能となっている.悪性リンパ腫は橋本病を基盤として起こることが多い.甲状腺悪性腫瘍の診断には一般に穿刺吸引細胞診が有用であるが,濾胞癌と良性の濾胞腺腫との鑑別は困難である.

参考文献

1) Fagin JA:Molecular genetics of tumors of thyroid follicular cells. Braverman LE and Utiger RD (ed):Werner & Ingbar's The Thyroid:A fundamental and clinical text. 9th ed. Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, pp906-927,2005
2) 難波裕幸:甲状腺腫瘍における遺伝子変異.伴良雄(編):よくわかる甲状腺疾患のすべて.永井書店,pp380-384,2003
3) Kroll TG, Sarraf P, Pecciarini L, et al:Pax 8-PPAR gamma 1 fusion oncogene in human thyroid carcinoma. Science 289:1357-1360,2000
4) 高見博:甲状腺髄様癌とMEN2型の診断と治療.伴良雄(編):よくわかる甲状腺疾患のすべて.永井書店,pp278-283,2003
5) 甲状腺外科研究会(編):甲状腺癌取扱い規約(第6版).金原出版,2005
6) 山下俊一:甲状腺腫瘍.黒川清,松澤佑次(編):内科学第2版,文光堂,pp1224-1228,2003
7) 小山徹也,堀越多美子,町田浩美,他:これだけは知りたい甲状腺疾患の臨床検査.甲状腺の病理診断と穿刺吸引細胞診検査.Medical Technology 34:369-374,2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?