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雑誌文献

検査と技術34巻9号

2006年09月発行

文献概要

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自動血球計数装置を用いたCAPD排液中の細胞数の算定と分類

著者: 加藤多紀子1 盛田俊介2

所属機関: 1東邦大学医療センター大森病院臨床検査部 2東邦大学医学部臨床検査医学

ページ範囲:P.841 - P.841

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 持続携帯式腹膜透析(continuous ambulatory peritoneal dialysis,CAPD)排液中の細胞数の算定と分類とはCAPD適応患者に特有な腹膜炎などの合併症の早期診断および治療効果の指標として重要な検査である.当院では,フックスローゼンタール計算板(Fuchs-Rosenthal hemocytometer)を用いて脳脊髄液(cerebrospinal fluid,CSF)と同様に目視法にて検査を実施している.しかし,目視法は手技が煩雑であるうえ,検体は長時間腹腔内に貯留されていた透析後の排液であるため,提出までの保存状態およびその時間,細菌の存在など種々の要因で細胞の判定に悩む場合があるため技師間差が生じてくるのは否めない.そこで,技師間差の解消,測定の省力化・迅速化を図ることを目的に,自動血球計数装置ADVIA2120(バイエルメディカル社)でのCAPD排液中の細胞数算定および分類の可能性を検討した.

 従来,CAPD排液中の細胞数算定と分類はCSFと同様に自動血球計数装置では測定が困難であったが,ADVIA120に装備されたCSFモードによるCSF中の細胞数算定については既に良好な結果が報告されている1).本装置のCSFモードはフローサイトメトリーを測定原理とし血球に2方向からレーザー光を照射してその散乱光の低・高角度シグナルを二次元座標にマッピングし算定・分類を行っている.この散乱光の強弱,方向は細胞固有の大きさと顆粒や核構造により異なるため,細胞を分類・鑑定することができる.このモードは全血球計数(complete blood count,CBC)モードと異なり,前処理としてCSF試薬と検体とを等量混合した後4分間室温に放置して細胞の固定と球状化を行う操作が必要であるが,その後はただちに測定が可能であるため迅速な測定の妨げにはならない.

参考文献

1) 澤田朝寛,森本愛,川端貞美,他:血球分析装置ADVIA120による脳脊髄液細胞算定の基礎的検討:日本検査血液学会雑誌 6:208-217,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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