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文献詳細

雑誌文献

検査と技術34巻9号

2006年09月発行

連載 失敗から学び磨く検査技術 病理標本作製法

細胞診のアーティファクト―検体採取,塗抹,固定に由来するアーティファクト―検体放置による細胞融解

著者: 阿部仁1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部病理学教室

ページ範囲:P.848 - P.850

文献概要

 ヘマトキシリンに薄く無構造に染色されているのは核なのかな,ほかのものなのかな.判別し難い標本だが,どうしてこうなったのだろうか.

 図1のパパニコロウ染色(Papanicolaou stain)でヘマトキシリンに薄く染色されているのは細胞の核である.核内のクロマチン構造が不明瞭で細胞質も消失しており細胞起源の判定は困難である.また,背景の好中球は分糸部が不鮮明となりリンパ球とともに丸く収縮している.矢印(↑)は細胞集塊なのだろうか.

 図2,3に見られる腺癌細胞では,核クロマチンの融解化に伴い核内が明るく抜けて見える.細胞質が薄くピンク色に染色されているが,粘液だろうか.

参考文献

1) 仁平博子:泌尿器の細胞診,細胞診の基本,下巻各論.武藤化学,pp160-174,1999
2) 細胞検査士会(編):呼吸器.細胞診標本作製マニュアル,2003
3) 阿部仁:細胞診のアーティファクト,染色によるアーティファクト,(2)ヘマトキシリン染色後の分別不足.検査と技術 32:358-359,2004
4) 阿部仁:細胞診のアーティファクト,染色によるアーティファクト,(3)ヘマトキシリン染色後の分別過多.検査と技術 32:360-362,2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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