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検査じょうほう室 微生物
Clostridium difficileのtoxin B検出法
著者: 加藤はる1
所属機関: 1国立感染症研究所細菌第二部
ページ範囲:P.862 - P.864
文献購入ページに移動Clostridium difficileは,偏性嫌気性グラム陽性桿菌で,抗菌薬関連下痢症/腸炎の主要な原因菌です.本症の細菌学的検査としては,糞便中のC. difficile毒素検出,菌の分離培養と分離菌株の毒素産生性の検査,さらに一般臨床検査室にはまだ普及していませんが糞便検体中あるいは分離菌株における毒素遺伝子の検出,があります.C. difficileの病原性に大きな役割を果たしている毒素には,toxin A,toxin B,さらに最近話題になっています第三の毒素,binary toxin(actin-specific ADP-ribosyltransferase)1)がありますが,現在日本では糞便中の毒素検出として市販のキットによるtoxin Aの検出が行われています.C. difficileには,toxin A陽性toxin B陽性(A+B+)株,toxin A陰性toxin B陽性(A-B+)株,toxin A陰性toxin B陰性(A-B-)株が認められています.A-B+株もA+B+株と同様に偽膜性大腸炎を含む下痢症/腸炎を引き起こすことがわかってきたこと,現在日本で使用されているtoxin A検出キットの感度がtoxin A産生菌株によるC. difficile関連腸炎/下痢症の診断検査としても感度が高くないこと,から,現在欧米ではtoxin Aとtoxin Bとの両毒素を検出できるキットの使用が一般的です.
ここでは,細菌学的検査結果を中心にA-B+株による劇症腸炎症例を紹介しながら解説します.
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