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文献詳細

雑誌文献

検査と技術34巻9号

2006年09月発行

文献概要

けんさ質問箱Q&A

筋弛緩薬は脳波に影響はなく,ABRには影響がある理由は?

著者: 山田了士1

所属機関: 1岡山大学医学部歯学部附属病院精神神経科

ページ範囲:P.887 - P.889

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脳波測定時に筋弛緩薬を投与して記録しました.医師によれば「脳波に影響はない」とのことでしたが,どういう作用機序で脳波に影響がないのでしょうか,教えてください.また,「ABR(auditory brain stem response,聴性脳幹反応)では影響がある」ともいわれました.この機序についても併せて教えてください.(東大阪市 K.F.生)

 はじめに

 まず結論から記しますと,一般的な理解では筋弛緩薬は脳波にもABRにもそれ自体に大きな影響はないと思います.

 体に投与された薬物が脳の中の神経に作用するかどうかは,その薬物が血液脳関門を通過することができるかどうかにかかっています.血液脳関門とは,血管内血液に含まれる物質が容易に脳に入らないようにして,脳を有害な物質から守る機能をもっています.具体的には,脳の中を走る毛細血管の血管壁が密になっており,さらに血管の周りをグリア細胞が取り囲んでいて,血管からの物質の脳内への移行を防いでいるのです.一般に分子量が比較的大きいもの,また脂溶性が低くイオンになりやすいものは血液脳関門を通りにくいとされています.

参考文献

1) 田中千賀子,加藤隆一,NEW薬理学 改訂第4版.南江堂,2002
2) 鈴木篤郎(監),船坂宗太郎,大西信治郎(編):聴性脳幹反応―その基礎と臨床 メジカルビュー,1985
3) Rundshagen I, Schnabel K, Schulte am Esch J:Midlatency auditory evoked potentials do not allow the prediction of recovery from general anesthesia with isoflurane. Can J Anesth 49:361-368,2002
4) Messner M, Beese U, Romstock R, et al:The bispectral index declines during neuromuscular block in fully awake persons. Anesth Analg 97:488-491,2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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