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私の一推し免疫染色
HMB45
著者: 長嶋洋治1 山中正二2 稲山嘉明2 加藤生真2 矢尾正祐3
所属機関: 1横浜市立大学大学院医学研究科分子病態腫瘍病理学 2横浜市立大学附属病院病理部 3横浜市立大学大学院医学研究科泌尿器分子遺伝学
ページ範囲:P.50 - P.51
文献購入ページに移動症例:60歳代,女性,主婦.
家族歴・既往歴:特記すべきことなし.結節性硬化症なし.
現病歴:他疾患の精査中に偶然,右腎腫瘍を発見され,腎摘除術を受けた.術後8か月を経過して,再発,転移の徴候はない.
摘出標本肉眼所見(図1):摘出腎には上極に3.5×3cm大,均質,淡褐色,境界明瞭な腫瘍が認められた.出血や壊死は見られなかった.
病理組織学的所見:組織学的には腫瘍は被膜を欠くが腎実質との境界は明瞭であった.腫瘍細胞は充実性に配列していたが,類洞状血管網は見られなかった(図2).個々の細胞は膠原線維を含む間質に囲まれていた(図3).腫瘍細胞は中型ないし大型で,多形性に富んでいた.核はくびれを有し泡状,核小体は中型,明瞭であった.細胞質は淡明ないし好酸性であった.巨細胞が散見され,神経節細胞に類似した外観を呈した.脂肪組織は見られなかったが,硝子化を伴い肥厚した壁を有する血管が見られた.腫瘍は浸潤性増殖を示し,malignant potentialを有することが示唆された.
免疫組織化学染色:サイトケラチン(cytokeratin),EMA(epithelial membrane antigen,上皮性細胞膜抗原),CD10,gp200抗原(RCC-Ma抗体で検出)といった上皮細胞マーカー,近位尿細管マーカーは陰性であった.ビメンチン(vimentin)は陽性であった.平滑筋特異的アクチンは陽性であった.HMB(human melanoma, black)45を用いた免疫染色では陽性像が得られた(図4).チロシナーゼ(tyrosinase)およびMelan Aは陰性であった.
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