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文献詳細

雑誌文献

検査と技術35巻1号

2007年01月発行

文献概要

私の一推し免疫染色

HMB45

著者: 長嶋洋治1 山中正二2 稲山嘉明2 加藤生真2 矢尾正祐3

所属機関: 1横浜市立大学大学院医学研究科分子病態腫瘍病理学 2横浜市立大学附属病院病理部 3横浜市立大学大学院医学研究科泌尿器分子遺伝学

ページ範囲:P.50 - P.51

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症例

 症例:60歳代,女性,主婦.

 家族歴・既往歴:特記すべきことなし.結節性硬化症なし.

 現病歴:他疾患の精査中に偶然,右腎腫瘍を発見され,腎摘除術を受けた.術後8か月を経過して,再発,転移の徴候はない.

 摘出標本肉眼所見(図1):摘出腎には上極に3.5×3cm大,均質,淡褐色,境界明瞭な腫瘍が認められた.出血や壊死は見られなかった.

 病理組織学的所見:組織学的には腫瘍は被膜を欠くが腎実質との境界は明瞭であった.腫瘍細胞は充実性に配列していたが,類洞状血管網は見られなかった(図2).個々の細胞は膠原線維を含む間質に囲まれていた(図3).腫瘍細胞は中型ないし大型で,多形性に富んでいた.核はくびれを有し泡状,核小体は中型,明瞭であった.細胞質は淡明ないし好酸性であった.巨細胞が散見され,神経節細胞に類似した外観を呈した.脂肪組織は見られなかったが,硝子化を伴い肥厚した壁を有する血管が見られた.腫瘍は浸潤性増殖を示し,malignant potentialを有することが示唆された.

 免疫組織化学染色:サイトケラチン(cytokeratin),EMA(epithelial membrane antigen,上皮性細胞膜抗原),CD10,gp200抗原(RCC-Ma抗体で検出)といった上皮細胞マーカー,近位尿細管マーカーは陰性であった.ビメンチン(vimentin)は陽性であった.平滑筋特異的アクチンは陽性であった.HMB(human melanoma, black)45を用いた免疫染色では陽性像が得られた(図4).チロシナーゼ(tyrosinase)およびMelan Aは陰性であった.

参考文献

1)Amin MB:Epithelioid angiomyolipoma:Eble JN, Sauter G, Epstein JI, Sesterhenn IA (ed):World Health Organization classification of tumours. Pathology & Genetics Tumours of the urinary system and male genital organs. IARC Press, Lyon,pp68-69,2004
2 Eble JN, Amin MB, Young RH:Epithelioid angiomyolipoma of the kidney. A report of five cases with a prominent and diagnostically confusing epithelioid smooth muscle component. Am J Surg Pathol 21:1123-1130,1997

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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