icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術35巻1号

2007年01月発行

文献概要

復習のページ

血清アルブミン測定における色素結合法の特異性

著者: 鈴木優治1

所属機関: 1埼玉県立大学保健医療福祉学部健康開発学科検査技術科学専攻

ページ範囲:P.70 - P.72

文献購入ページに移動
[色素結合法とはなにか]

 pH指示薬は臨床検査領域では試験紙による尿pH測定,細菌培養のBTB(brom thymol blue)乳糖寒天培地や血清コリンエステラーゼ測定のフェノールレッド法などに用いられている.これらの検査法はpH指示薬の本来機能であるpHにより変色することを利用している.一方,pH指示薬には蛋白質存在下で起こる蛋白質誤差と呼ばれるpH変化とは無関係の変色があり,この現象は主にヒト血清アルブミン(human serum albumin,HSA)の測定に応用されている.蛋白質誤差に基づく蛋白質測定法は色素結合法と呼ばれ,多くのpH指示薬を用いた測定法が考案されてきた.しかし,臨床検査法として現在普及しているHSA測定法は90%以上がブロムクレゾールグリーン(bromcresol green,BCG)法1)であり,ブロムクレゾールパープル(bromcresol purple,BCP)法2)が数%を占めるにすぎない.

参考文献

1)Doumas BT, Watson WA, Biggs HGu:uAlbumin standards and the measurement of serum albumin with bromcresol green. Clin Chim Acta 31:87-96,1971
2)岡村研太郎:ブロムクレゾールパープルを用いる血清アルブミンの定量.臨床検査 18:646-650,1974
3)Suzuki Yu:uCharacteristics of a protein error in determination of serum protein in the presence of inorganic salt. Anal Sci 22:269-274,2006
4)鈴木優治:色素結合法における蛋白誤差への共存イオンの関与に関する研究-化学平衡論と実験による解析.医学検査 55:827-834,2006
5)水田亘,熊田至,福田勝宏,他:セルローズアセテート膜電気泳動法のスクリーニングとしての血清アルブミンの色素定量法.臨床病理 23:884-888,1979
6)吉田真理子,浅井正樹,中根清司:ブロムクレゾールパープルによる血清アルブミンの定量法.衛生検査 27:1059-1064,1978
7)村上恵美子,村本良三,櫛下町醇,他:BCG,BCPのアルブミン,α1-,α2-,β-,γ-グロブリンとの反応性.衛生検査 39:31-35,1990
8)村本良三:血清アルブミン定量法.臨床検査 48:537-544,2004
9)鈴木優治,江原進:体液成分の測定値に影響を及ぼす共存物質の推定方法.臨床化学 18:59-62,1989
10) 村本良三,櫛下町醇,松下誠,他:血清保存中のブロムクレゾールパープル法による血清アルブミン濃度の測定値の上昇に関する検討.臨床化学 20:13-17,1991
11) 村本良三,松下誠,入野勤:正確度を改善したブロムクレゾールパープル法による血清アルブミン定量法の改善.臨床化学 26:38-43,1997

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?