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HCVキャリア採血での針刺し事故の検査は,なぜ HCV抗体か?
著者: 伊藤敬義1 井廻道夫1
所属機関: 1昭和大学医学部第二内科
ページ範囲:P.76 - P.77
文献購入ページに移動Q.HCVキャリア採血での針刺し事故の検査は,なぜ HCV抗体か?
HCV(hepatitis C virus,C型肝炎ウイルス)キャリアからの採血時,指への針刺し事故を起こしてしまいました.当日出したHBsAbAg,HBeAbAg,HCV抗体の検査結果はすべて陰性で,その後6週間のHCV抗体検査も陰性でした.このような事故の場合,どういう検査を何法で受けるべきでしょうか教えてください.また,HCV感染を早く知るためにはHCV抗原を検査するほうがよいのではないかと思うのですが,どうして数か月かかるHCV抗体検査するのですか,併せて教えてください.
(東京都 Y.M.生)
A.伊藤敬義・井廻道夫
不慮の針刺し・切創事故,あるいは粘膜や損傷した皮膚に対する血液・体液の曝露は,事故者に肝炎ウイルスなどの病原体感染リスクをもたらします.針刺し事故によって病気を引き起こす代表的な病原体にヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus,HIV),B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus,HBV),C型肝炎ウイルス(HCV)が問題となります.そのほかの病原体では梅毒やヒトTリンパ好性ウイルス(human T-lymphotropic virus,HTLV)-1が挙げられますが,針刺し事故後の感染率はほとんどないと考えられており,事故後の対処法もありません.針刺し事故後の感染率は米国疾病予防管理センター(centers for disease control and privention,CDC)のまとめによるとHIV汚染血液からで0.3%,HBV汚染血液ではHBs抗原,HBe抗原ともに陽性者からの事故で37~62%(うち肝炎発症者は22~31%),HBs抗原陽性,HBe抗原陰性者からの事故で23~37%(うち肝炎発症者は1~6%)と報告されています1).また,HCV汚染血液からの感染は1.8%とされていますが1),報告によって0~7%と異なっています.
HCV(hepatitis C virus,C型肝炎ウイルス)キャリアからの採血時,指への針刺し事故を起こしてしまいました.当日出したHBsAbAg,HBeAbAg,HCV抗体の検査結果はすべて陰性で,その後6週間のHCV抗体検査も陰性でした.このような事故の場合,どういう検査を何法で受けるべきでしょうか教えてください.また,HCV感染を早く知るためにはHCV抗原を検査するほうがよいのではないかと思うのですが,どうして数か月かかるHCV抗体検査するのですか,併せて教えてください.
(東京都 Y.M.生)
A.伊藤敬義・井廻道夫
不慮の針刺し・切創事故,あるいは粘膜や損傷した皮膚に対する血液・体液の曝露は,事故者に肝炎ウイルスなどの病原体感染リスクをもたらします.針刺し事故によって病気を引き起こす代表的な病原体にヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus,HIV),B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus,HBV),C型肝炎ウイルス(HCV)が問題となります.そのほかの病原体では梅毒やヒトTリンパ好性ウイルス(human T-lymphotropic virus,HTLV)-1が挙げられますが,針刺し事故後の感染率はほとんどないと考えられており,事故後の対処法もありません.針刺し事故後の感染率は米国疾病予防管理センター(centers for disease control and privention,CDC)のまとめによるとHIV汚染血液からで0.3%,HBV汚染血液ではHBs抗原,HBe抗原ともに陽性者からの事故で37~62%(うち肝炎発症者は22~31%),HBs抗原陽性,HBe抗原陰性者からの事故で23~37%(うち肝炎発症者は1~6%)と報告されています1).また,HCV汚染血液からの感染は1.8%とされていますが1),報告によって0~7%と異なっています.
参考文献
1)Updated U.S. Public Health Service Guidelines for the Management of Occupational Exposures to HBV, HCV, and HIV and Recommendations for Postexposure Prophylaxis. MMWR Recomm Rep 50:1-52,2001
2)Gerlach JT, Diepolder HM, Zachoval R, et alu:uAcute hepatitis Cu:uhigh rate of both spontaneous and treatment-induced viral clearance. Gastroenterology 125:80-88,2003
3)伊藤敬義,井廻道夫:【肝臓 脂肪性肝炎とC型肝炎】Q&A C型肝炎からの自然治癒は? Q&Aでわかる肥満と糖尿病 4:1022-1024,2005
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