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文献詳細

雑誌文献

検査と技術35巻10号

2007年10月発行

失敗から学び磨く検査技術―臨床化学編

免疫電気泳動法で,抗血清を入れるときは陽極側から

著者: 澤田威男1

所属機関: 1自治医科大学附属病院臨床検査部

ページ範囲:P.944 - P.945

文献概要

 血清蛋白は多種類の蛋白成分の混合物であり,その成分濃度は疾病による変化とは別に年齢差,性別差など生理的変動の他に,検体による(例えば溶血,血漿など)変化もある.正常者血清の血清蛋白は支持体(主にセパラックスSPなどのセルロース・アセテート膜)蛋白電気泳動(electrophoresis,EP)では,易動度の速い成分から順に陽極よりアルブミン,α1,α2,β,γ分画の5つの分画帯に泳動される.各分画は複数の蛋白成分から形成されることから,その増減や異常分画の確認は,主な成分を定量測定する方法と,免疫電気泳動法(immunoelectrophoresis,IEP)が用いられている.図1に正常者血清の免疫電気泳動像と各分画の中心蛋白を示す.

 IEPは主にアガロースを支持体に用いた支持体電気泳動法と,ゲル内二重免疫拡散法とを組み合わせることで,特にM蛋白(monoclonalprotein,MP)の確認と,その同定に用いる方法である.臨床症状や血液・生化学検査,尿一般検査などの検査結果からMPを疑う場合,EPや免疫グロブリン(immunoglobulin,Ig)クラス別定量検査と合わせてIEPが依頼される.Igは多クローンの形質細胞から産生され,抗体活性を有する蛋白質であるが,形質細胞の一種のクローンが何らかの原因で増殖し産生されたIgがMPである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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