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Laboratory Practice 〈輸血●ヒト由来抗血清からモノクローナル抗体に・1〉
血液型とモノクローナル抗体―歴史的背景と基礎
著者: 古杉光明1
所属機関: 1オーソ・クリニカルダイアグノスティックス株式会社テク ニカルサービスセンターImmunohematology
ページ範囲:P.954 - P.960
文献購入ページに移動はじめに
1975年にKohlerとMilsteinがヒツジ赤血球で免疫したマウス脾細胞とマウスミエローマ細胞とを融合して得たヘテロハイブリドーマ細胞が,抗ヒツジ血球凝集素を産生・分泌しながら増殖することを報告1)して以来,この細胞融合の手法を応用したモノクローナル抗体の作製が行われ,さまざまな研究分野や臨床検査・治療の分野においてモノクローナル抗体が用いられるようになった.輸血検査の分野においては,1980年代初めには既に数種類の血液型判定用モノクローナル抗体が作製されており,1984年に抗Lea・抗Leb・抗Hおよび抗Mモノクローナル抗体の国内販売が開始された.ほぼ時期を同じくして,ABO式血液型判定用試薬の製品化への広範な検討が各国で行われ,1985年前後に承認・販売が開始された.国内においても1987年に厚生省(現在の厚生労働省)の「血液型製剤判定用血清基準」の改定がなされ,1988年からモノクローナル抗A(抗B)の販売が開始された.また,1989年には抗Dモノクローナル抗体の製造・輸入が認可され,販売が開始された.現在では複数の赤血球抗原に対するモノクローナル抗体製品が作製・市販され,患者検体におけるABO式およびRh式血液型検査のほとんどがモノクローナル抗体によって行われるようになっている.本稿では現在までの概要について簡単に触れておく.
1975年にKohlerとMilsteinがヒツジ赤血球で免疫したマウス脾細胞とマウスミエローマ細胞とを融合して得たヘテロハイブリドーマ細胞が,抗ヒツジ血球凝集素を産生・分泌しながら増殖することを報告1)して以来,この細胞融合の手法を応用したモノクローナル抗体の作製が行われ,さまざまな研究分野や臨床検査・治療の分野においてモノクローナル抗体が用いられるようになった.輸血検査の分野においては,1980年代初めには既に数種類の血液型判定用モノクローナル抗体が作製されており,1984年に抗Lea・抗Leb・抗Hおよび抗Mモノクローナル抗体の国内販売が開始された.ほぼ時期を同じくして,ABO式血液型判定用試薬の製品化への広範な検討が各国で行われ,1985年前後に承認・販売が開始された.国内においても1987年に厚生省(現在の厚生労働省)の「血液型製剤判定用血清基準」の改定がなされ,1988年からモノクローナル抗A(抗B)の販売が開始された.また,1989年には抗Dモノクローナル抗体の製造・輸入が認可され,販売が開始された.現在では複数の赤血球抗原に対するモノクローナル抗体製品が作製・市販され,患者検体におけるABO式およびRh式血液型検査のほとんどがモノクローナル抗体によって行われるようになっている.本稿では現在までの概要について簡単に触れておく.
参考文献
1) Kohler G, Milsteinu:uContinuous cultures of fused cells secreting antibody of predefined specificity. Nature 256:495-497,1975
2) Oriol Ru:uGenetic control of the fucosylation of ABH precursor chains. Evidence for new epistatic interactions in different cells and tissues. J Immunogenet 17:235-245,1990
3) Barnstable CJ, Bodmer WF, Brown G, et alu:uProduction of monoclonal antibodies to group A erythrocytes, HLA and other human cell surface antigens-new tools for genetic analysis. Cell 14:9-20,May 1978
4) Voak D, Sacks S, Anderson T, et alu:uMonoclonal anti-A from a hybrid-myeloma. Evaluation as a blood grouping reagent. Vox Sang 39:134-140,1980
5) Sacks SH, Lennox ESu:uMonoclonal anti-B as a new blood-tyoing reagent. Vox Sang 40:99-104,1981
6) Tippett Pu:uRh blood group systemu:uThe D antigen and high- and low-frequency Rh antigens. Inu:uVenglen-Tyler, V, Pierce, S, eds. Blood Group Systemsu:uRh. Arlington, VAu:upp25-54, American Association of Blood Banks,1987
7) Thompson KM, Melamed MD, Eagle K, et alu:uProduction of human monoclonal IgG and IgM antibodies with anti-D (rhesus) specificity using heterohybridomas. Immunology 58:157-160,1986
8) Voak D, Lennox Eu:uPrincepales of monoclonal antibodies in blood transfusion work. Biotest Bulletine 4:281-290,1983
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