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文献詳細

雑誌文献

検査と技術35巻11号

2007年10月発行

文献概要

増刊号 メタボリックシンドローム健診検査技術マニュアル 総論

6. 基準範囲と基準値―概念・設定法・用途から見た相違点

著者: 市原清志1

所属機関: 1山口大学大学院医学系研究科保健学専攻生態情報検査学講座

ページ範囲:P.1045 - P.1052

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はじめに

 メタボリックシンドロームの早期発見と予防を目指した特定健診が2008年4月から実施される.その病態診断の基本となるのは,身体計測値と臨床検査値で,それぞれに基準値が示されている.そのなかで使われている基準値という用語は,臨床検査の分野でこれまで使われてきた基準範囲という用語と混同されており,かつ基準値そのものにも,いくつかの意味合いがある点が問題となっている.この点は,先に日本臨床検査医学会の標準委員会に設置された「基準値・基準範囲特別委員会」のなかで討議されたが,その報告1)が周知されておらず,特定健診の導入でその混乱にいっそうの拍車がかかると予測されるため,再度,二つの用語の概念を整理したい.

参考文献

1) 日本臨床検査医学会標準委員会基準値・基準範囲特別委員会:「基準値」,「基準範囲」について.臨床病理 50:1154-1159,2002
2) NCCLS C28-A2:How to define and determine reference intervals in the clinical laboratory - Second edition - Approved Guideline. Villanova, PA:National Committee for Clinical Laboratory Standards,2000
3) 市原清志:正常値(基準値・基準範囲)・異常値に対する考え方.日本臨床 53(増刊):9-28,1995
4) 市原清志:基準範囲の設定における基準個体の選別 統計処理上の問題点と対応.臨床検査 40:1383-1392,1996
5) 市原清志:臨床検査情報の収集とデータマイニング データマイニングの事例 潜在基準値法による日常検査情報の活用.臨床検査 49(増刊):1471-1485,2005
6) Ichihara K, Kawai T:Determination of reference intervals for 13 plasma proteins based on IFCC international reference preparation (CRM470) and NCCLS proposed guideline (C28-P,1992):trial to select reference individuals by results of screening tests and application of maximal likelihood method. J Clin Lab Anal 10:110-117,1996
7) 市原清志:エンザイムイムノアッセイにおける基準範囲ならびにカットオフ値の設定とその問題点.日本臨床 53:2220-2230,1995
8) 日本臨床検査自動化学会会誌編集部:極端値・パニック値対応マニュアル.日本臨床検査自動化学会会誌 30(Suppl.1):1-190,2005
9) Ichihara K, Sato K:Evidence-based laboratory interpretation system built on a large collection of case records with well-defined diagnosis. Clin Chem Lab Med 39:1033-1044,2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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