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文献詳細

雑誌文献

検査と技術35巻11号

2007年10月発行

文献概要

増刊号 メタボリックシンドローム健診検査技術マニュアル 各論

1. 検査前手順 1) 生理的変動,サンプリング,試料の取り扱い (3) AST,ALT,γ-GT

著者: 河口勝憲1 市原清志2

所属機関: 1川崎医科大学附属病院中央検査部 2山口大学大学院医学系研究科保健学専攻生態情報検査学

ページ範囲:P.1133 - P.1140

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生理的変動―個体間変動

1 . 性差・年齢別変動

 AST(aspartate aminotransferase)は男性が女性より少し高値の傾向を認める.筆者らが大規模な住民検診結果から,潜在異常値除外法で求めた性別・年齢別基準範囲の図から見ると,成人では男女とも40歳以降緩やかに漸増するが,女性でややその傾向が強い(「総論」1062-1075頁).ALT(alanine aminotransferase)は,男性で明瞭に高いが,これは後述の食習慣や飲酒習慣の違いによるところが大きい.加齢変化は男性では20歳から50歳後半をピークにやや上昇し,女性では中高年で上昇する.ただし,高齢者では男女ともやや低下する.γ-GT(γ-glutamyl transferase)は,ALT同様の要因により男性で明瞭に高い.加齢により男女とも緩やかに漸増するが,男性では50歳以降,女性では70歳以降に緩やかに低下する.この結果70歳以降では男女差はかなり狭まる(図1).

参考文献

1) 大月和宣:成人男性の非肥満 非常習飲酒家における脂肪肝の生活習慣病に及ぼす影響.健康医学 18:174-176,2003
2) 河口勝憲,市原清志,小野聡子,他:全血放置後の臨床検査値の変動における温度条件と個体差.医学検査 45:1270-1275,1996
3) 玄番昭夫:検体の安定性.Medical Technology 13:273-278,1985
4) 山内昭浩,青木哲雄:ALT活性測定用血清検体の保存条件に関する検討.医学検査 44:907-910,1995
5) 河口勝憲,松本敬子,河口豊,他:検体容器の形状と無栓放置による生化学検査値の経時的変動.医学検査 44:1809-1813,1995

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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