icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術35巻11号

2007年10月発行

文献概要

増刊号 メタボリックシンドローム健診検査技術マニュアル 各論

2. 検査手順 2) 生化学検査 (3) AST,ALT,γ-GT

著者: 加藤隆則1 桑克彦2

所属機関: 1株式会社日立製作所日立健康管理センタ 2筑波大学大学院人間総合科学研究科臨床医学系

ページ範囲:P.1197 - P.1207

文献購入ページに移動
測定法の概要

1 . JSCC常用基準法とトレーサビリティ連鎖

 特定健診における健診項目として指定された血清酵素項目はAST(aspartate amintransferase),ALT(alanine aminotransferase),γ-GT(γ-glutamyl transferase)の3項目であり,これらの日常検査法は日本臨床化学会(Japan society of clinical chemistry,JSCC)標準化対応法という.JSCCは,1989年にヒト血清中のAST,ALT活性測定の勧告法を,1994年にγ-GT活性測定の勧告法を公表している.これらの勧告法での測定温度は30℃であるが,日常検査での測定が37℃で行われていることを考慮し,測定温度についての再検討が行われた.その結果,勧告法とまったく同じ測定条件で測定温度のみを37℃とした「JSCC常用基準法」が1994年に提示され,現在の国内における血清酵素活性測定についての基準の方法として主に酵素標準物質の値付けに用いられている1)

 測定操作法と標準物質で組み立てた階層構造をトレーサビリティ連鎖という.酵素活性測定のトレーサビリティ連鎖図を図1に示した.図1ではJSCC/JCCLS(Japanese committee for clinical laboratory,日本臨床検査標準協議会)常用基準法が測定法の頂点であり,これを下位に伝達するためにJSCC/JCCLS常用基準法(JSCC/JCCLS自動化法)で値付けられた常用酵素標準物質(Japanese certified enzyme reference material,JCERM)が設定されている.これを用いて試薬メーカーによって設定された検量用ERMによりJSCC標準化対応法となる日常検査法を校正する.最終的に検査室で用いる日常検査法は,図1のなかで設定された試薬メーカーの測定システム(試薬キット・検量用ERM・酵素項目用管理試料)をメーカーの指示に従って用いることで,JSCC/JCCLS常用基準法(JSCC/JCCLS自動化法)にトレーサブルな測定結果を得ることができる2)

参考文献

1) 日本臨床化学会酵素専門委員会(編):血清中の酵素活性測定標準化の推進に関する指針.臨床化学 23:335-340,1994
2) 桑克彦,関口光夫,細萱茂実,他(著),JCCLS認証委員会標準物質小委員会WG(編):酵素標準物質(ERM)Lot004の設定概要.日本臨床検査標準協議会会誌 19:3-16,2004
3) 日本臨床化学会(編):ヒト血清中酵素活性測定の勧告法―アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ.臨床化学 33:16a-39a,2004
4) 日本臨床化学会(編):ヒト血清中酵素活性測定の勧告法―アラニンアミノトランスフェラーゼ.臨床化学 33:40a-52a,2004
5) 日本臨床化学会酵素専門委員会(編):ヒト血清中酵素活性測定の勧告法γ-グルタミルトランスフェラーゼ.臨床化学 24:106-121,1995
6) 細萱茂実,桑克彦,濱崎直孝:臨床検査における測定の不確かさ・ケース別推定法.臨床化学 34:40-46,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら