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病気のはなし
精巣腫瘍(セミノーマ)
著者: 椎木一彦1 島田誠1
所属機関: 1昭和大学横浜市北部病院泌尿器科
ページ範囲:P.1328 - P.1332
文献購入ページに移動精巣腫瘍とは精巣を発生母地とする腫瘍性病変の総称であるが,そのなかでもセミノーマを含む胚細胞腫瘍がその中心である.そのほとんどは悪性であり,20~40歳という若年層に好発するという点で非常に重要な疾患である.一方,たとえ転移を有する進行癌であっても適切な治療により完治に導くことのできる数少ない悪性腫瘍であるという面でも正しい知識が必要とされる.組織型により臨床的にはセミノーマと非セミノーマに分類して治療方針の決定や経過観察,予後推定に役立てている.いずれの組織型であっても進行癌に対する治療の中心は精巣摘出手術後の化学療法であり,これに放射線療法や転移巣の外科的切除を組み合わせた集学的治療が行われ,これにより特にセミノーマに関しては高い治癒率が得られている.なお,全体の約5%を占める非胚細胞性の精巣腫瘍としてはテストステロン産生細胞に由来するライディッヒ細胞腫や精子形成に関与する細胞の腫瘍化したセルトリ細胞腫があり,これらの多くは良性である.また,高齢者に発生するものとして悪性リンパ腫が臨床的に重要である.
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