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文献詳細

雑誌文献

検査と技術35巻12号

2007年11月発行

文献概要

疾患と検査値の推移

全身性エリテマトーデスの診療における臨床検査の意義

著者: 池田啓1

所属機関: 1千葉大学医学部アレルギー・膠原病内科

ページ範囲:P.1348 - P.1353

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はじめに

 全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus,SLE)は多様な症状および臓器病変を特徴とする全身性自己免疫性疾患である.わが国では人口10万人に対して7~8人の発症率であり,10代後半より40代の女性に好発する.病因は明らかではないが,複数の遺伝的素因にさまざまな要因(日光,ウイルス感染,ホルモン,ストレス,薬剤など)が加わり発症すると考えられている.近年型インターフェロンとSLEの病態とのかかわりが明らかにされ1~3),複雑なSLEの病態が徐々に解明されつつある.

 SLEの発症様式および臓器病変は多岐にわたり,症状は無症候性のものから痙攣といった劇的な発症様式をとるものまで,臓器病変は特異病変を示さず発熱などの全身症状のみのものから急速に多臓器不全をきたすものまでさまざまである.典型例では発熱,惓怠感といった全身症状に加え,皮膚,粘膜,関節症状を呈し,好発する臓器病変としては血液,腎,中枢神経,漿膜などが挙げられる.迅速な診断および適切な治療を行うためには,これらの多彩な病態の把握が必要であり,そのためには詳細な問診,身体所見に加えてさまざまな他覚的検査を組み合わせることが重要である.免疫異常がその病態に大きくかかわっているSLEでは,特に適切な血液検査の施行が診断に必須であり,また治療による修飾,感染症などの合併症を除外し,その病勢を正確に評価するためには,経時的な血液尿検査の施行,解読が必要とされる.

参考文献

1) Baechler EC, Batliwalla FM, Karypis G, et al:Interferon-inducible gene expression signature in peripheral blood cells of patients with severe lupus. Proc Natl Acad Sci USA 100:2610-2615,2003
2) Bennett L, Palucka AK, Arce E, et al:Interferon and granulopoiesis signatures in systemic lupus erythematosus blood. J Exp Med 197:711-723,2003
3) Kirou KA, Lee C, George S, et al:Coordinate overexpression of interferon-alpha-induced genes in systemic lupus erythematosus. Arthritis Rheum 50:3958-3967,2004
4) Tan EM, Cohen AS, Fries JF, et al:The 1982 revised criteria for the classification of systemic lupus erythematosus. Arthritis Rheum 25:1271-1277,1982
5) Hochberg MC:Updating the American College of Rheumatology revised criteria for the classification of systemic lupus erythematosus. Arthritis Rheum 40:1725,1997
6) Weening JJ, D'Agati VD, Schwartz MM, et al:The classification of glomerulonephritis in systemic lupus erythematosus revisted. Kidney Int 65:521-530,2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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