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文献詳細

雑誌文献

検査と技術35巻12号

2007年11月発行

文献概要

けんさ質問箱

血糖管に用いるNaFについて

著者: 菊池春人1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部臨床検査医学・中央臨床検査部

ページ範囲:P.1392 - P.1394

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Q.血糖管に用いる NaFについて

NaF(フッ化ナトリウム)の解糖阻止効果は採血後2時間過ぎてから現れると本に書いてありましたが,それではどのような処理をすると最もよいでしょうか.当院では外注のため採血後遠心のみで血漿分離はせずに遠心した状態で出しています.当日,集配に間に合わなかったときは冷蔵庫に入れておき翌日出していますが,①遠心しないほうがよいのか,②血漿分離して保存したほうがよいのか,教えてください.(東京都 Y.M.生)


A.菊池春人

はじめに

 まず,「血糖管」,「解糖」という言葉のなかの「糖」という言葉ですが,現在では通常グルコース(ブドウ糖)だけを指し,血糖=血漿中グルコースと同義に使われていて,本項で考えるのはグルコースについてであることを念のため確認しておきたいと思います.一方,英語での医学用語では通常blood(plasma)glucoseであり,blood sugarという言葉はあまり用いられていません.日本語でも本来血中(血漿中)グルコースとしてこのことを明確にしておいたほうがよいと思われますので,本項でも基本的には「グルコース」という言葉を用いることとします.

参考文献

1) 蘒原佐千子,都築久美子,光吉慶生:解糖阻止剤添加血液の血漿分離までの時間による血糖値の変化.臨床検査 40:968-972,1996
2) 牧瀬淳子:NaFを添加した血糖採血管には,1時間以上保存してはいけない.Medical Technology 29:1518,2001
3) 富永真琴:血糖と糖負荷試験.河合忠(編):基準値と異常値の間―その判定と対策,改訂5版.中外医学社,pp480-484,2001
4) 内田壱夫,松瀬亮一,他:速効性解糖阻止剤の開発.第6回日本臨床化学会夏期セミナー.pp307-312,1986

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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