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文献詳細

雑誌文献

検査と技術35巻12号

2007年11月発行

文献概要

学会印象記 日本臨床検査自動化学会第39回大会

学会参加から得られる最新情報

著者: 増川敦子1

所属機関: 1東海大学医学部付属病院 臨床検査科

ページ範囲:P.1404 - P.1404

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 8月の茹だるような暑さから,朝夕に涼しさと爽やかさが加わった9月26日~28日に日本臨床検査自動化学会第39回大会が開催された.横浜での開催のため,26日の技術セミナーを皮切りに毎日通うことにした.通勤ラッシュに縁のない者にとっては,横浜駅の人波に躊躇し,流れに遅れないよう進みながらも,大観覧車が見えたときには安堵感と同時に1日の始まりを感じた.今大会のテーマ「検査室からの挑戦―創造と変革を求めて」のもと最新情報と自分が関与する遺伝子検査の情報を得ることを参加目的にした.

 2日目は聴講や機器・試薬展示の見学が十分可能であった.特別講演は「糖鎖研究3大基盤ツールの開発―新たな糖鎖バイオマーカー発見に向けて」であったが,その題から臨床検査にどのように関与してくるのか想像ができず聴講した.講演は糖鎖研究がポストゲノム研究として現在どの程度進んで,今何ができるかについて進められた.糖鎖研究はヒト糖鎖遺伝子の発見・確認を行いデータベース化し,ライブラリーに整備している.構造解析には質量分析装置(以下,MS)とレクチンを利用した2法が開発されていた.MSの糖鎖構造解析は標準糖鎖構造の段階的な壊れ方のパタンをデータベース化し,ヒトの構造は95%まで解析可能となっている.例として血小板凝集性には1糖鎖(52番目のスレオニンに結合)が関与し,この糖鎖分子がなくなると血小板凝集活性がなくなることや,ノロウイルスがどの糖鎖と結合し感染に関与するのか研究中であることが紹介され,なじみの項目名だけに興味深かった.MSとデータベースの利用は誰にでも,短時間で,微量蛋白量での解析が可能であることが利点と述べられたが,研究色が強く新薬開発のターゲット分子の同定への利用に有用と感じた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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